被撃墜ゼロ?航空自衛隊のF-15J戦闘機の驚くべき性能

自衛隊のF15戦闘機 戦闘機
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焦りから生まれた最強戦闘機

日本の空を守る航空自衛隊は約320機の戦闘機を運用していますが、その中で主力を務めているのが40年間も防空任務に就いている「F-15J/DJ戦闘機」です。

一般的に最も馴染みのある戦闘機といえるこの機体は、抜群の信頼性から航空ファンのみならず、実際に扱うパイロットからも人気があって、各国で使われているるベストセラーでもあります。

⚪︎基本性能:F-15J/DJ戦闘機

全 長 19.4m
全 幅 13.1m
全 高 5.6m
乗 員 1名(複座式の「DJ型」は2名)
速 度 最大マッハ2.5(時速2,500km)
航続距離 約4,600km(増槽あり)
高 度 約19,800m
兵 装 20mm機関砲×1
空対空ミサイル
価 格 1機あたり約100億円

「イーグル」の愛称で知られるF-15戦闘機は、高まるソ連軍機の脅威を受けてアメリカが1960年代に開発したもので、米空軍では1972年から現在にいたるまで使っています。

ベトナム戦争で苦戦していたアメリカは、F-4戦闘機では空戦性能が物足りず、今後はソ連軍機に太刀打ちできないと本気で恐れていました。その後、ソ連がミグ25戦闘機を登場させてそのすばらしさを宣伝すると、アメリカの危機感はついにストップ高となります。

そこで、今までの戦闘機を凌駕する圧倒的な空戦能力を目指した結果、F-15戦闘機は他の追随を許さない最高のものに仕上がりました。

これに対して、仮想敵だったソ連軍機の性能はかなりの誇張が含まれていたので、結果的にF-15の優位性は当時ゆるぎないものになります。相手の宣伝を信じて過大評価したところ、焦って開発した戦闘機が恐ろしく高性能になった形です。

本来、F-15は敵戦闘機を撃破して航空優勢を取るための「制空戦闘機」であって、初実戦となった1991年の湾岸戦争では、撃墜38機・被撃墜ゼロという鮮烈デビュを果たしました。

その後も各地の軍事作戦に投入されたり、イスラエルのような輸出先でも実戦を経験するなか、優れた空戦性能から公式に撃墜されたことがないという「無敗神話」を確立しています。

しかも、ゆとりある基本設計のおかげで、F-15シリーズは近代化改修がしやすく、今も飛び続けているのです。

日本の防空を支える戦闘機

そんな最強ともいえるF-15の日本配備は1981年から始まり、ライセンス生産によって計213機を調達しました。これは本家・アメリカに次ぐ保有数で、北は千歳基地から南は那覇基地に至るまで全国各地に配備されています。

このとき導入されたのは米空軍の「F-15C/D」から対地攻撃能力など当時の自衛隊には必要ないものを省いた「F-15J(複座型はDJ)」という仕様で、純粋な制空戦闘機として運用されました。

中国軍機やロシア軍機に対する毎日のスクランブル発進に活用される空自のF-15J/DJは、戦闘機パイロットを目指す航空学生にとっても憧れの機体で、操る者は「イーグル・ドライバー」とも呼ばれています。

発進するF-15戦闘機(出典:航空自衛隊)

余談ですが、1995年の訓練で誤発射された空対空ミサイルによる撃墜事件が発生した結果、空自は世界唯一の「被撃墜記録」を持っています。

撃墜されたパイロットは緊急脱出して無事でしたが、これは未だに航空機によって撃墜された唯一のF-15戦闘機です。

マルチロール機に生まれ変わる?

現在も201機のF-15J/DJ戦闘機が運用されているものの、このうち半数の102機は近代化改修によって情報処理能力と電子機器をアップグレードした「J-MSIP機」と呼ばれるもの(Japan Multi-Stage Improvement Program「日本多段階能力向上計画」の略)。

一方、改修対象外となったものは「Pre-MSIP機」と呼ばれていて、最新のF-35ステルス戦闘機に順次更新されます。

さらに、すでにアップグレードされたJ-MSIP機のうち、約70機に対して電子戦能力・レーダー性能の強化、長射程ミサイルの搭載を含む2度目の近代化改修を実施します。

長射程ミサイルに関しては、台湾有事における事実上の切り札として期待されているJASSMミサイル、そして国産開発される射程延伸型の12式対艦ミサイルを想定しています。

このように空自のF-15Jは、今までの制空戦闘機から対地・対艦攻撃もできるマルチロール機へと生まれ変わる予定です。

さらなる近代化改修を受けるF-15J(出典:航空自衛隊)

かたや世界に目を向けた場合、アメリカでは最新のレーダー、電子戦能力を備えたうえ、対地攻撃能力も強化した最新型の「F-15EX」が登場しており、計76機が調達されました。

この「F-15EX」はF-35戦闘機よりも兵器搭載量と速度で優れ、耐用年数や維持費の点でも有利なことから、ステルス戦闘機を使うまでもない作戦に投入するオプションとして魅力的です。

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