恐怖のターミネーター?ロシアのBMPTが誇る性能とは

ロシア
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謎の戦車支援戦闘車

ロシア軍の陸上兵器といえば、T-72を始めとする戦車のイメージが強く、実際に戦車大国として知られてきました。

そんななか、近年はその戦車を敵の歩兵から守るべく、「BMPT(戦車支援戦闘車)」を登場させました。

「ターミネーター(テルミナートル)」の異名を持ち、対歩兵では無双するとされるとも、実際は謎に包まれた部分が多く、違う意味でも「秘密兵器」にあたります。

  • 基本性能:BMPT「ターミネーター」
重 量 48t
全 長 7.2m
全 幅 3.8m
全 高 3.44m
乗 員 5名
速 度 時速60km
行動距離 約550km
兵 装 30mm機関砲×2
7.62mm機関銃×1
グレネード・ランチャー×2
対戦車ミサイル×4
価 格 不明

チェチェン紛争での苦戦を受けて、ロシアは戦車と一緒に行動しながら、対戦車火器で攻撃してくる歩兵を倒す、あるいは味方の戦車を援護する重要性を学びました。特に市街戦でゲリラ相手に戦う場合、随伴する味方歩兵では対処しきれず、専用の支援戦闘車が必要と感じました。

そこで、T-90戦車の車体に無人砲塔を取りつけて、対歩兵用の武器を備えたのがBMPTです。

強力な30mm機関砲を使い、建物・陣地に隠れた敵を撃ち、接近する歩兵は7.62mm機関銃、またはグレネード・ランチャーで制圧します。ちなみに、30mm機関砲は850発分、7.62mm機関砲は2,000発分、グレネードは600発分の弾薬を携行可能です。

ここに4発の対戦車ミサイルが加わり、そのまま陣地ごと吹き飛ばしたり、敵の戦車や車両を撃破できます。

これら兵器を操るべく、戦車並みの射撃管制装置を組み込み、ロシア版GPSとリンクさせることで、高い精度を実現したのみならず、複数の敵と同時交戦できるようになりました。そして、たとえ悪天候下でも、7km先の敵をとらえたり、激しく動き回りながらも、目標に命中できるそうです。

戦車2両に対して1両のBMPTがつき、主に市街戦で支援する役目を果たします。市街地は死角が多い分、BMPTの周辺警戒能力は高く、充実した光学・暗視装置を備えて、昼夜問わず近接戦に対応しました。

次に防御面を見ると、複合装甲と増加装甲で重要な部分を守り、ロシア好みの爆発反応装甲を通して、敵弾の威力を爆風で減衰させる狙いです。ほかにも、検知用のレーザー装置、6つの煙幕発射機を持ち、対NBC防護力で汚染環境下でも活動できます。

一方、あくまで戦車支援が目的であって、歩兵戦闘車のように兵員輸送はできず、その分の乗員スペースもありません。実際にBMPTは戦車でも、歩兵戦闘車でもなく、従来の区分では分類できない車両です。

少数配備と量産の見込み

期待の支援戦闘車である以上、装甲部隊に多数を配備すべきところ、2010年代には計画の見直しを行い、その調達は取りやめになりました。

その代わり、「テルミナートル2」の開発に取り組み、手に入れやすいT-72の車体に変えながら、射撃管制装置とセンサーを新しくしました。また、グレネード・ランチャーをなくして、乗員数を3名に減らしています。

この改造型はカザフスタンが10両、アルジェリアが300両も買い、シリア内戦にも投入されました。そこでの市街戦で活躍したからか、ロシア軍は再び採用に向けて動き、2018年頃に配備が始まったものの、現在の稼働数は約30両にすぎません。

そのうち、何両かはウクライナ侵攻に投入されています。最新兵器として期待されたにもかかわらず、自爆ドローンの攻撃を受けて、少なくとも1両を失い、2両が損傷しました。

火力支援では役立ち、無用の長物ではないですが、やはり30両では戦局に寄与できません。さらなる改良型の「BMPT-3」の構想も上がるなか、そもそもの量産体制が整っておらず、影響を与えられるほどの配備数は見込めません。

ウクライナで泥沼戦争に苦しみ、大量の戦車・装甲車を失った以上、いまのロシアにBMPTを量産する余力はなく、T-14戦車とともに幻の兵器に終わりそうです。

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