大人気!レオパルト2戦車の強さとは

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抜群の信頼性を誇るドイツの主力戦車

第二次世界大戦で多くの傑作戦車を生み出したドイツは、戦後もその伝統を継承して国産戦車の開発に勤しみ、のちに欧州各国でベストセラーとなる「レオパルト」シリーズを誕生させました。東西冷戦の最前線であった当時の西ドイツは、強大な装甲戦力を持つソ連軍を迎え撃つために戦後初の国産戦車「レオパルト1」を配備したものの、進化するソ連戦車に対応するべく新たに「レオパルト2」を登場させます。

⚪︎基本性能:レオパルト2A7(最新型)

重 量67.0t
全 長10.93m
全 幅3.74m
全 高3.03m
乗 員4名
速 度時速70km
行動距離約500km
兵 装55口径120mm滑腔砲×1
7.62mm機関銃×2
価 格1両あたり約15億円

1979年から配備が始まったレオパルト2は他の西側戦車に先駆けて120mm滑腔砲や複合装甲を採用したり、強力なエンジンを搭載したことで50トン超の車体としては異例の高機動力を実現しました。特に105mmライフル砲が主流だった時代に採用され、今では西側戦車の標準主砲となった120mm滑腔砲は、レーザー測定器や赤外線暗視機能などを組み合わせた照準システムによる高い射撃精度を誇るうえ、高性能な安定装置と連動しているので起伏の激しい地形での射撃や走りながらの目標捕捉と命中が可能です。

一方、防御力に関してはセラミックスやチタンを用いた複合装甲のおかげでレオパルト1よりも格段に上がりましたが、設計思想的には日本の74式戦車で見られるような曲線や傾斜を用いた避弾経始ではなく、直面を多用したデザインになりました。これは戦車砲弾の進歩によって既に避弾経始が通用しづらくなっていたためで、のちに他の西側戦車も追随した事実を考えるとレオパルト2は防御面でも先見の明があったといえます。

冷戦終結に伴う余剰車両の輸出で欧州標準戦車へ

120mm砲がもたらす強大な火力と優れた射撃精度、申し分ない機動性と防御力を持ったレオパルト2はソ連戦車に対抗するドイツの切り札として2,100両以上が生産されましたが、冷戦終結とソ連崩壊によってドイツが一気に軍縮政策に転換したので大量の余剰車両が発生しました。そして、余ったレオパルト2をオランダやスウェーデンなどに安価で輸出したのを契機に、その後も改良型などで輸出実績を順調に伸ばし、今では「欧州標準戦車」と称される地位を獲得しました。

このように優れた中古品を安く入手できる点が導入のきっかけとなったわけですが、もともとレオパルト2は改修に適した拡張性の高い設計であったことに加えて、ドイツが輸出先の要望に応じた独自仕様やサポート態勢に取り組んだのが功を奏していわゆる「リピーター客」を誕生させたのです。その結果、今ではポーランドやギリシアなどの欧州諸国に加えて、カナダ、トルコ、インドネシア、チリなど20カ国以上で採用されるベストセラーとなりました。

世界中で売れているレオパルト2戦車(出典:ドイツ連邦軍)

また、ロシアの侵略を受けるウクライナは供与戦車の本命としてレオパルト2を要請し、2023年にドイツやポーランド、フィンランドなどから30両以上のレオパルト2戦車を提供されました。この数は今後も増えると思われ、同じく供与されたイギリスのチャレンジャー2戦車やアメリカのM1A2エイブラムス戦車とともに、ウクライナの地で開発時の仮想敵であったソ連戦車(ロシア戦車)と交戦することになります。

さて、登場から40年以上が経過したレオパルト2の最新型は「レオパルト2A7V」と呼ばれるバージョンで、新型の赤外線サーモグラフィ装置やエアコン設備の追設、加速性と防護力のさらなる強化が図られました。一応、今後も改良されながら使われ続ける見込みですが、長らく停滞していた後継の開発も進んでおり、今のところラインメタル社(独)が発表した「KF-51 パンター」が有力視されています。

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