アジアの陸軍大国を支える
38度線を挟んで北朝鮮と対峙する韓国は、常備兵力だけで42万人を有するアジアの陸軍大国です(陸上自衛隊は13.8万人)。
そして、朝鮮戦争で北朝鮮の機甲部隊に苦しめられた教訓から、韓国軍は戦車を中心とした機甲戦力を充実させてきました。もともと、アメリカ製戦車を長年運用してきた韓国陸軍ですが、国産開発にも力を入れた結果、1980年代後半には初の国産戦車「K1」が誕生しました。
ところが、このK1戦車は機動力と砲弾搭載数がいまひとつで、旧式戦車の更新時期が迫っていたのもあって、1990年代には新たな国産戦車を開発します。
こうして登場したのが最新の主力戦車「K2」です。
⚪︎基本性能:K2戦車
重 量 | 55t |
全 長 | 10m |
全 幅 | 3.6m |
全 高 | 2.5m |
乗 員 | 3名 |
速 度 | 時速70km |
行動距離 | 約430km |
兵 装 | 120mm滑腔砲砲×1 7.62mm機関銃×1 12.7mm重機関銃×1 |
価 格 | 1両あたり約9億円 |
「黒豹」「ブラックパンサー」の愛称で知られるK2戦車は、2014年から配備が始まって現在までに約300両が調達されました。
打撃面では新たに国産の120mm滑腔砲を採用して、自動装填装置を取り入れて省人化しました。この戦車砲は通常弾のほかにも、目標を真上から狙える誘導弾を撃てるため、弱点である戦車上部を集中攻撃できます。
この誘導弾はドイツやイスラエルの企業と共同開発したもので、放たれた砲弾は目標付近に到達するとパラシュートが開き、センサーで敵戦車を捕捉、撃破する仕組みです。
攻撃時に頼りになるのが最新の射撃管制レーダー、レーザー測距器、自動追尾機能、そして夜間戦闘にも対応した高解像の赤外線センサーです。さらに、データリンクで味方部隊と連携しながら、GPS機能と敵味方識別装置を用いて戦況の把握、そして優先目標を選定します。
一方、防御力については複合装甲に加えて、爆薬で敵弾の貫通力をやわらげる反応型装甲も搭載しました。この爆発反応装甲は被弾時に起爆して成形炸薬弾の威力を減衰させるものですが、爆風や金属片を撒き散らすことから近くにいる味方も殺傷してしまいます。
ほかにも、K2戦車は自動消火装置とNBC兵器に対する防護機能を持ち、煙幕や赤外線対策用のフレアも放てます。
まとめると、韓国のK2戦車は攻撃・防御の両方において西側標準にあって、同世代戦車と比べても能力的に劣っていません。
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