カールグスタフ?84mm無反動砲の気になる威力と射程

対戦車兵器を構える自衛官 陸上自衛隊
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人気あるスウェーデン製の無反動砲

歩兵にとって最大の脅威とも言える戦車ですが、第二次世界大戦では携帯式の対戦車兵器が登場すると歩兵も一方的に狩られる立場ではなくなりました。

この頃に誕生した対戦車兵器といえば、ドイツのパンツァーファウストやアメリカのバズーカが有名ですが、実は第二次世界大戦は無反動砲の開発が進んだ時期でもあるのです。

無反動砲は弾を発射した際に、逆方向(後方)にガスなどを噴射して砲の前方と後方における衝撃を釣り合わせます。つまり、発射する弾と同じ運動量の爆風を後方に放つことで射撃時の反動を抑え、通常の大砲のような頑丈さや衝撃吸収パーツが必要ありません。

したがって、十分な破壊力を放てるにもかかわらず、小型化と軽量化が特徴であり、歩兵でも携行できる対戦車兵器として重宝されてきました。

そんな無反動砲は戦後も世界各国に普及しますが、特にベストセラーとなったのがスウェーデン製の「カールグスタフ」です。

自衛隊も未だ使っているこの無反動砲は一体何が優れているのか?

⚪︎基本性能:カールグスタフM4(最新型)

重 量 6.8kg
全 長 0.99m
口 径 84mm
要 員 2名 (標準)
発射速度 毎秒255m
射 程 対戦車弾:500〜1,000m
多目的榴弾:1,000m
発射速度 最大6発/分
価 格 約200万円

カールグスタフはスウェーデンが戦後に開発し、初期型のM1から最新型のM4までいくつかバージョンが存在します。

比較的簡単な構造と操作しやすいことから、欧米を中心に世界40ヶ国が採用している無反動砲のベストセラーとなり、フォークランド紛争からイラク戦争に至るまでの実戦で使用されてきました。

元々は対戦車を念頭に開発されましたが、対戦車弾以外にも多目的榴弾や照明弾、発煙弾のように多種多様の弾を発射できるため、建物や陣地を含む様々な目標に対してダメージを与えられます。

例えば、フォークランド紛争ではイギリス軍がカールグスタフを使用してアルゼンチン海軍のコルベット艦を中破させており、アフガニスタン戦争では米軍がタリバンの陣地を破壊するのに多用しました。

発射されるカールグスタフ(出典:アメリカ軍)

このように使い勝手が良い兵器ですが、同じ対戦車兵器であるジャベリンのように基本的には誘導機能を備えておらず、有効射程もミサイルよりは短いので接近して狙いをよく定める必要があります。

ただし、開発中と言われている最新の対戦車弾はレーザー誘導機能が付与されており、最大射程も2,500mになるそうです(その分、1発あたりの値段は高くなりますが)。

肝心の威力については、対戦車弾であれば厚さ400mmの装甲を貫けるそうですが、これはジャベリンが持つといわれている600〜800mmの貫通力には劣り、84mmという口径も現代戦車を撃破するにはやや威力不足と言わざるを得ません。

それでも、当たれば「撃破」までは至らずとも戦闘や走行に何からしらの支障をきたすレベルの損害は与えられ、これが戦車以外の装甲車両であれば尚更です。ほかにも、非装甲車両や簡易陣地に対しては十分な破壊力を発揮できるので支援火力としてはまだまだ有効です。

また、前述のように照明弾や発煙弾も撃てる汎用性の高さに加えて、M3やM4は従来よりも大幅な軽量化に成功しており、重くて高いジャベリンよりも気軽に使える点では有利でしょう。

こうした多目的に使える汎用性と重量やコスト面における利点がカールグスタフの根強い人気を支えているわけです。

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