空戦性能に優れた欧州の多用途機
西側各国でF-35ステルス戦闘機の配備が進むなか、欧州勢を代表する「ユーロファイター・タイフーン」もまだ空を飛んでいます。
イギリス、ドイツ(西独)、スペイン、イタリアが共同開発したこの戦闘機は登場してからすでに20年が経過したものの、優れた機動性とマルチ能力を持つことからしばらくは安泰です。
⚪︎基本性能:ユーロファイター・タイフーン
全 長 | 15.96m |
全 幅 | 11.09m |
全 高 | 5.29m |
乗 員 | 1名(複座型は2名) |
速 度 | マッハ1.8 (時速2,200km) |
航続距離 | 約3,000km |
高 度 | 約19,800m |
兵 装 | 27mm機関砲×1 対空ミサイル 対艦ミサイル 対地ミサイル 誘導爆弾など |
価 格 | 1機あたり約200億円以上 |
比較的軽量で、機種のカナード翼が特徴的なユーロファイター・タイフーン戦闘機は、高速飛行時ではF-35よりも優れた旋回性能、そして見劣りしない加速性能を誇ります。特に、後者については離陸からわずか2.5分で高度1万メートルまで到達可能なほどです。
さらに、排気に燃料を吹きかけて推進力を強化する「アフターバーナー」を使わなくても超音速巡航(スーパークルーズ)ができますが、これはあのF-22戦闘機と同じです。
ほかにも、タイフーンは「DASS」と呼ばれる自動防御システムを搭載しており、全周囲に対する警戒監視、脅威に合わせた防御手段の判断が行われます。このシステムでは、通常の電波妨害やチャフ・フレアの射出に加えて、全自動の曳航式デコイを使った撹乱と誤誘導を狙います。
ドイツ空軍のユーロファイター・タイフーン(出典:ドイツ連邦軍)
一方、弱点とされていたレーダー分野では、小型目標やステルス機にも対応した最新型(AESAレーダー)が登場したことで、ライバルのフランス産・ラファール戦闘機との差を埋めました。
このように機動性と加速性、防御力に長けたタイフーンは、最新のステルス戦闘機には敵わない一方、F-16戦闘機などの第4.5世代機のなかでは空戦性能が高いと評判です。
したがって、自信を持って他国にも売り込んでいて、日本で一時検討された際も、空戦能力はF-22に次ぐ「世界2位」と強調されました。
さまざまな兵器を搭載できる長所
さらに、対地・対艦攻撃にも対応したマルチロール機であるため、対空ミサイル以外にも、対艦ミサイルや対地ミサイル、JDAM誘導爆弾、対戦車ミサイルまで運用できるのも魅力的です。
例えば、対艦攻撃任務を重視している航空自衛隊に対しては、現行のF-2戦闘機よりも多い最大6発ものハープーン・ミサイルを搭載できると売り込みました。
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