働き者のCH-47輸送ヘリ「チヌーク」

航空機
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抜群の実績と信頼性を誇る大型輸送ヘリ

陸上自衛隊、航空自衛隊が保有する最も大きなヘリコプターに「CH-47」がありますが、機体の前後に2つの大きなローターを持つこの機体は抜群の信頼性を誇るうえ、一度に多くの人員を運べる大型輸送ヘリであることから災害派遣では毎回大活躍しています。

⚪︎基本性能:CH-47JA

全 長30.18m
全 幅16.26m
全 高5.69m
速 度時速270km
航続距離約1,040km
乗 員3名
輸送力最大55名
価 格1機あたり約55億円

「チヌーク」の愛称で知られるCH-47はアメリカが1950年代に開発したヘリで、実戦投入されたベトナム戦争において優秀な働きを見せたのを契機に、その後も改良を重ねながら今も世界各国で現役の名機となりました。本機の特徴としては最大55名の人員、もしくは高機動車を機内にする収容する能力が挙げられますが、完全武装の兵士を余裕で1個小隊は迅速に空輸できるので米軍では急襲作戦などによく投入されます。また、機内の座席を外せば24名分の担架が収容できるため、前線の負傷者を後方輸送する際にも重宝されてきました。

他にも、大きな機体とパワーを生かして12トンもの荷物を吊り下げる能力を有することから車両や120mm重迫撃砲といった火砲の運搬はもちろんのこと、山林火災を鎮火するためにバケットで散水するという任務にもしばしば駆り出されます。

火砲を吊り下げて運ぶCH-47(出典:陸上自衛隊)

このような優れた輸送力を持つCH-47を自衛隊は1986年に導入し、現在は陸自だけが使う「J型」と空自も運用している改良版の「JA型」が存在します。同じCH-47でも「JA型」は航続距離が従来の倍近い1,040kmまで伸び、GPS機能や暗視装置、気象レーダー、ミサイル警報装置などが装備されました。

陸も空もCH-47を輸送目的で導入しましたが、その用途は異なっており、陸自が現場への人員、物資などの輸送を想定しているのに対して、空自は遠隔地や山間部にあって陸の孤島と化しているレーダーサイト基地への補給に使っています。このように細かい使い道は違うものの、どちらのCH-47も災害派遣に投入されることが多く、長所の輸送力を活かして被災者や救援物資の空輸を行ってきた実績から国内における評価も高く、災害が頻発する日本にとっては「最も必要なヘリ」ともいえます。

まだまだ現役を続けるCH-47輸送ヘリ

現在、陸自はJ型およびJA型を合わせて50機ほど保有していますが、老朽化したJ型の退役が始まっているなか、現行体制を維持するために今後もJA型の調達が続く見込みです。一方、空自の保有数はもともと調達数が多くなかったのもあって、現在は15機ほどになっています。

日米共同訓練で陸自CH-47から展開する米軍兵士(出典:陸上自衛隊)

ここで気になるのは後継の存在ですが、半世紀以上もアップグレードしながら安定運用を続けてきた実績と信頼性は不動のもので、本機に代わり得る大型輸送ヘリがないのが現状です。さらに、わざわざ費用をかけてまで新たなヘリを開発するインセンティブは弱く、むしろ設計的に既に完成されているCH-47を改良した方が合理的という考えが根強いため、結局CH-47の後継はCH-47ということでアメリカでは最新の「F型」が登場しました。

この最新型のCH-47は以下のような改良点があります。
・エンジン出力の強化
・機体強度の向上
・電子機器の更新
・燃費の向上と航続距離の増大

上記からも分かるように改良自体は施されているものの、全体としては大きく変わっておらず、いかに基本設計が優秀であったかを改めて証明する結果となりました。米軍はこのCH-47Fをなんと500機以上も調達するつもりですが、これは少なくとも2060年代までは飛び続けることを意味し、CH-47が開発から100年後も現役という航空史上きわめて稀な記録を打ち立てるのが確実となりました。ひるがえって、日本の自衛隊はV-22オスプレイの配備が進むなかでも、JA型の調達を続けますが、代替可能な機体が登場しない限りは将来的に米軍と同じF型もしくはその独自派生型を導入する可能性が高いです。

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