革新的!陸自も使うV-22オスプレイ

航空機
スポンサーリンク

「固定翼機+ヘリコプター」の輸送機は意外に安全?

現在、第1ヘリコプター団で運用されている陸上自衛隊の新型輸送機「V-22オスプレイ」は在日米軍が導入した際に事故率を巡って激論が繰り広げられましたが、その後は米軍による安定運用によって反対議論が沈静化し、自衛隊への導入も滞りなく進められてきました。一時は注目の的となったオスプレイとは一体どのような機体なのでしょうか?

⚪︎基本性能:V-22オスプレイ

全 長17.5m
全 幅25.5m
全 高6.63m
乗 員4名+最大32名
速 度時速565km
航続距離約3,600km(貨物なし)
高 度約7,900m
価 格1機あたり約100億円

英語で猛禽類の鳥「ミサゴ」を意味するオスプレイは固定翼機としての飛行性能を持ちながら、ヘリコプターのような垂直離着陸が可能というそれぞれの利点を組み合わせた機体となっています。これを実現しているのが両翼の先端を傾ける「ティルト・ローター」と呼ばれるもので、ヘリと同様に離着陸できる一方で、航続距離と速度は通常のヘリより格段に優れているのです。そのため、ヘリよりも速く、遠くに人員や物資を輸送できるうえ、飛行場がない地域にも展開できるわけですが、この魅力に目を付けた米軍は既に400機以上のオスプレイを調達してイラク、アフガニスタンでの実戦にも投入してきました。

しかし、複雑な構造を持つティルト・ローター機は操縦の難易度が一般的な航空機よりも高く、米軍のオスプレイは配備開始後まもなくして2件の墜落事故を起こしました。これが日本への配備の際に問題視されたのですが、オスプレイに限らずとも航空機は開発段階や熟練度が低い初期配備では事故が起きやすく、飛行時間あたりの事故率で見て場合はオスプレイは海兵隊が運用する全航空機の平均と大差ありません。

むしろ、従来機のCH-53や自衛隊も運用しているCH-47の方が数値上はオスプレイを上回っており、この事故率も特殊部隊による危険な強襲作戦に用いる空軍仕様のものを織り込んだら上昇するなど、使い方によっては「トリッキー」な数字なのです。ただ、オスプレイの沖縄配備を巡る議論が激化した敏感な時期にモロッコで米軍のオスプレイが墜落事故を起こした結果、世間的な感触として同機の安全性に対する信頼が低下した点は否めません。

垂直離着陸モードの陸自オスプレイ(出典:陸上自衛隊)

このように事故率という点では自衛隊の導入したオスプレイは他の機体と比べてズバ抜けて「高い」とは言えませんが、地元住民からすれば墜落の危険があることに変わりはなく、飛行機嫌いの人に統計的な安全性を説いても恐怖が完全払拭できないのと同様に数値をもって不安を解消するのは難しいのです。結局、米海兵隊での通常運用が行われ、自衛隊への配備も進められていくなか、確実かつ安全な飛行を通じて不信感を徐々にやわらげるしかありません。

さて、計17機が調達される陸自オスプレイは将来的には南西諸島に近い佐賀空港に配備され、有事では離島防衛を担う日本版海兵隊・水陸機動団の空輸を担当する予定です。従来のCH-47J輸送ヘリよりも航続距離と速度に優れたオスプレイは離島奪還における切り札のひとつとも見なされ、既に米軍のオスプレイが海上自衛隊のヘリ空母「ひゅうが」に着艦したり、陸自のオスプレイに米軍兵士を乗せて離島奪還訓練を実施するなど、日米一体化の象徴とも化しています。

1 ・・・次のページ

コメント

タイトルとURLをコピーしました