空中機動の専門、第1ヘリコプター団の編成と機数について

自衛隊の大型輸送ヘリ 陸上自衛隊
この記事は約3分で読めます。

陸自最大の航空部隊は輸送ヘリ中心

現代の陸戦ではヘリを用いた空中機動と迅速展開が多用されますが、日本の陸上自衛隊も例外ではなく、ヘリの集中運用によって兵力を一気に投入する運用思想が存在します。

その役割を担うために「CH-47J/JA輸送ヘリ」を中心したヘリを集中的に配備したのが木更津駐屯地に拠点を置く「第1ヘリコプター団」です。

⚪︎基本情報:陸上自衛隊第1ヘリコプター団

団 長 陸将補
創 設 1968年3月1日
司令部 木更津駐屯地
担当範囲 日本全国
駐屯地 木更津、高遊原
航空機 CH-47J/JA輸送ヘリ
UH-60JA多用途ヘリ
V-22オスプレイ
AH-1S攻撃ヘリ
EC-225LPヘリ
LR-2連絡偵察機

第1ヘリコプター団は陸上総隊の直轄部隊として特殊作戦群や日本版海兵隊の水陸機動団などの空中機動輸送を担当し、その担当エリアは日本全国に及びます。

したがって、迅速な空輸を行うためのCH-47ヘリを4個飛行隊、計32機も集中配備していますが、これは陸自保有数の実に半分以上という数にあたり、単純計算すれば最大で1,500名近い隊員を一気に輸送できる規模。

ちなみに、名称は「第1」ヘリコプター団となっていますが、日本唯一の空挺部隊・第1空挺団と同様に「第2〜」に該当する部隊は存在しません。

このように陸自最大の航空輸送力を誇る第1ヘリコプター団は、普段から各部隊の訓練支援にあたるとともに、災害派遣では被災地での救助活動や救援物資の輸送で活躍してきました。

また、CH-47以外にもUH-60JA多用途ヘリや対戦車攻撃用のAH-1Sコブラ、陸自唯一の固定翼機であるLR-2連絡偵察機など多岐にわたる航空機を運用しているため、補給・整備部隊は陸自で最も高い技量を誇るといわれています。

現在は島嶼防衛を想定した南西シフトが自衛隊全体で進められていますが、水陸機動団や第1空挺団の空中機動を支える第1ヘリコプター団の重要性は今後も変わらず、逆に高まっていくことから同部隊は一部機能を九州方面に移転させています。

例えば、CH-47チヌークのうち1個飛行隊を熊本の高遊原分屯地に配置させたほか、話題のV-22オスプレイも木更津駐屯地への暫定配備後は佐賀空港に配備予定です。

CH-47チヌークは今後も運用され続ける見込みで、新しいV-22オスプレイも続々と配備されていくので第1ヘリコプター団は益々忙しくなりますが、それだけ同部隊が持つ航空輸送力が島嶼防衛における初動対応と戦力投射のカギを握るということです。

さらに、海・空と同様に慢性的な人手不足に悩む陸自は攻撃ヘリを廃止して無人機で代替するという方針を打ち出しましたが、この決断の背景には航空輸送力の維持という優先課題に浮いた航空要員を回す意図もあるのかもしれません。

戦闘攻撃ヘリを廃止する自衛隊の未来とは?
無人機への更新という決断 ロシア=ウクライナ戦争が発生して、アジア太平洋方面でも台湾有事が現実味を帯びるなか、日本は2022年末に防衛力の...

コメント

タイトルとURLをコピーしました