救難で大活躍!自衛隊のUH-60Jヘリのスゴさ

自衛隊のヘリコプター 自衛隊
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待ち望んだ全天候型の救難ヘリ

自衛隊の主任務は日本の防衛になりますが、災害派遣などで救助を行うのも役割のひとつであり、これら活動でほぼ毎回活躍するのが救難隊が運用する「UH-60J」というヘリコプターです。

悪天候にも強く、優秀な性能を誇るこのヘリは墜落によって遭難した味方搭乗員を救うのが本来の役割あるため、戦闘機が日々の訓練で飛び立つときも、すぐ出動できるように待機しています。

実際の救助ではU-125A救難機が先に向かい、要救助者を発見したら後方のUH-60Jに詳細位置を伝達して迅速な救助を行います。そして、有事では敵の妨害下での救助活動(戦闘救難捜索)をせねばならず、こうした状況で使われるのを想定した機体です。

⚪︎基本性能:UH-60J救難ヘリ

全 長 15.65m
全 幅 5.43m
全 高 5.13m
乗 員 5人
速 度 時速265km
航続距離 約3,000km
価 格 1機あたり約45〜50億円

UH-60Jは高い信頼性で有名なアメリカのUH-60「ブラックホーク」をベースとした日本独自の救難ヘリで、航空自衛隊と海上自衛隊がそれぞれ導入しています。

ほかにも、陸上自衛隊は人員輸送用として多用途型の「UH-60JA」を運用しており、海自の護衛艦によく搭載されているSH-60哨戒ヘリも実はブラックホークの派生型です。

全天候型の救難ヘリであるUH-60Jは気象レーダーと捜索用の熱線映像装置(サーモグラフィー)、要救助者を吊り上げるホイスト装置を備え、両側の窓は機体下方への視野を確保するために半球に膨らんだバブル・ウィンドウを採用しました。

さらに、捜索活動では長い航続距離と活動時間が求められることから機体後部の大半を燃料タンクで占めるとともに、左右には大きな増槽(追加燃料タンク)を設置しました。

UH-60J(筆者撮影、加工)

空自と海自のUH-60Jは性能面ではほとんど変わらない一方、外見は全く異なっており、海自の機体は要救助者が視認しやすいように白とオレンジの派手な塗装を施しているのに対して、空自のUH-60Jは洋上迷彩のダークブルーを採用しました。

実は空自タイプも当初は白とオレンジの塗装でしたが、有事での救出活動は攻撃される危険があるので目立たない塗装に変更したのです。

空自のUH-60J(左)と海自のUH-60J(右)(出典:航空自衛隊、海上自衛隊)

そして、塗装以外にも空自が運用する一部機体には航続距離を延伸するための空中給油装置、そしてミサイル警報装置とチャフ・フレア発射装置など最低限の自己防御機能が付与されました。

ちなみに、チャフ装置は発射した際に機体右側のローターから生じる風を受けて拡散しやすいように逆の左側につけられています。

空自は改良型、海自はSH-60を後継に

待望の全天候型救難ヘリとして1988年に配備が始まったUH-60Jは空自が41機、海自が12機を保有していますが、護衛艦での運用も見据える海自は後継機としてSH-60哨戒ヘリの救難仕様を調達します。

一方、空自はミサイル警報装置や熱線映像装置、エンジンをそれぞれ更新し、赤外線排出を抑制する装置やワイヤーカッターを新たに加えた「UH-60J Ⅱ」を40機ほど導入する予定です。

この改良型はナビゲーション機能が追加されたことで今まで地図アプリと眼下の地形を照らし合わせながら飛んでいたパイロットの負担が大幅軽減され、災害派遣で着陸することが多い学校や病院の位置がひと目で分かるようになりました。

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