陸上自衛隊が運用する特別輸送ヘリコプター
総理大臣などの要人は外国訪問時はあの有名な政府専用機を使う一方で、国内移動ではもっぱら新幹線や民航機を利用するものの、状況によってはヘリコプターを使うことがあります。その際に乗るのが「特別輸送ヘリコプター」と呼ばれる機体で、日本版エアフォースワンの政府専用機は航空自衛隊が運用しているのに対して、この政府専用ヘリの運用は陸上自衛隊が担当します。
⚪︎基本性能:特別輸送ヘリコプター(EC-225 LP)
全 長 | 19.5m |
全 幅 | 16.2m |
全 高 | 4.97m |
乗 員 | 2名+同乗20名 |
速 度 | 時速320km |
高 度 | 約5,000m |
航続距離 | 約850km |
価 格 | 1機あたり約25億円 |
特別輸送ヘリはフランス製の「EC-225 LP」を用いた事実上の政府専用機であり、こちらはアメリカ大統領が乗る専用ヘリ「マリーン・ワン」の日本版に該当する存在です。2008年の導入以降、計3機が陸自・第1ヘリコプター団の特別輸送ヘリコプター隊(木更津駐屯地)に配備され、各地の視察に訪れる首相や防衛大臣を運ぶ通常の輸送任務に加えて、災害発生時には上空から被災状況を確認するのに使われてきました。また、同ヘリは天皇陛下の移動手段としても用いられることがあって、例えば、東日本大震災の被災地をお見舞いされる際にお召しになりました。
こうした重要人物の輸送を行うことから特別輸送ヘリは安全性には特段注力しており、水上への不時着を想定した緊急用の筏やフロートを装備しているほか、襲撃対策として防弾板と赤外線の排出を抑制する装置が追設されています。機内に関しては20名まで搭乗することができますが、天皇陛下や首相クラス、国賓が乗るとなれば余裕と快適性を意識して同行人数を最低限に抑えるそうです。
首相官邸のヘリポートに離着陸できる特別輸送ヘリは迅速性が求められる日帰り訪問に利用されがちですが、滑走路を必要としないヘリの特性を生かして自衛隊の演習場や空港がない地域・離島への視察時に重宝されています。派手さはないものの、あらゆる場所に離着陸できる国内用の政府専用機として活用される本機は、首相以外にも天皇陛下が御使用になられること、そして2機でペアを組んで行動するなど空自の政府専用機と共通点が多いのも事実です。
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