扱いやすく、多用途に使える機体
大国としてのプライドと他国依存の回避から国産開発にこだわるフランスは戦闘機も長らくミラージュ・シリーズを手がけており、現在も多用途タイプの「ミラージュ2000」を運用しています。
しばしばF-16戦闘機のライバルと見なされるミラージュ2000は累計600機が生産されて、南米から中東、アジアで広く使われている機種です。
⚪︎基本性能:ミラージュ2000 戦闘機
全 長 | 14.36 m |
全 幅 | 9.13m |
全 高 | 5.2m |
乗 員 | 1名(複座タイプは2名) |
速 度 | 最大マッハ2.2(時速2,700km) |
航続距離 | 約1,550km |
高 度 | 約17,000m |
兵 装 | 30mm機関砲×2 対空ミサイル 対艦ミサイル 誘導爆弾など |
価 格 | 1機あたり約60億円 |
1983年に登場したミラージュ2000はもともと防空用の迎撃戦闘機として開発されたものの、対地・対艦攻撃能力を獲得した派生型によって最終的には多用途戦闘機(マルチロール)として運用されています。
小型で軽量な機体には各種対空ミサイルと誘導爆弾、エグゾセ対艦ミサイルを運用できるほか、核ミサイルさえ搭載可能な「ミラージュ2000N」は核戦力の重要な一翼を担ってきました。
また、ミラージュ2000は扱いやすい機体としても有名で、特に低速域での操縦性が良好なことからパイロットの間でも人気が高く、多用途戦闘機にしては安いという魅力も加わって、台湾やインド、アラブ首長国連邦など8カ国への輸出に成功しました。

300機以上を調達したフランスは1991年の湾岸戦争を皮切りに、コソボ紛争とリビア内戦、アフガニスタンやシリアでの空爆作戦に投入しており、旧宗主国として関与するアフリカでは脆弱な現地政府に対する航空支援も果たしてきました。
輸出先では改修延命へ
そんなミラージュは、後継のラファール戦闘機が登場したことで生産終了となり、フランス本国では退役が進められています。一方、輸出先の多くでは今も現役であり、一部は近代化改修で延命予定です。
さらに、退役した中古機をウクライナに供与する話が一部で取りざたされていましたが、これは扱いやすさから訓練が短期間で済むうえ、義勇パイロットもそれなりに見込めるからでした。
しかし、本命のF-16戦闘機が提供されるとあえてミラージュ2000を使う必要性が薄れるので、おそらくこの話は立ち消えになると思われます。
それでも、中古の多用途戦闘機としてはまだ十分な価値があるため、財政的余裕のない国にとっては魅力的な選択肢でしょう。
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