安く、機動性に優れた多用途機
世界最強の軍事力を誇るアメリカにとって「力の源」と言えるのが圧倒的な航空戦力であり、それを支えているのが多岐にわたる高性能な戦闘機たちです。
その一角を占める「F-16戦闘機」は、比較的安い割には優れた運動性能と多様な任務に対応できる能力を持つことから、使い勝手の良い戦闘機として愛用されています。
⚪︎基本性能:F-16戦闘機V(最新型)
全 長 | 15.03m |
全 幅 | 9.45m |
全 高 | 5.09m |
乗 員 | 1名 |
速 度 | マッハ2.0以上 (時速2470km以上) |
航続距離 | 4,200km以上 |
兵 装 | 20mmバルカン砲×1 対空・対地・対艦ミサイル 誘導爆弾、ロケット弾 |
価 格 | 1機あたり約80〜90億円 |
「ファイティング・ファルコン(闘うハヤブサ)」の愛称を持つF-16戦闘機はアメリカが1970年代に開発した多用途戦闘機ですが、当初は空戦を想定した軽量戦闘機として開発されました。
その後、対地攻撃や偵察などの多種多様な任務を遂行できる能力も付与され、主に制空を担当するF-15戦闘機とは異なる役割を担うようになります。
また、F-16は高価なF-15と比べて安いことから、少数の高額・高性能な兵器と多数の低額・そこそこの性能の兵器を組み合わせる「ハイローミックス」の一翼を担っており、4,600機以上が生産されたベストセラー機でもあります。
もともとF-15戦闘機に対して、価格と運動性能で不満を持つ者がアメリカ空軍の一部に存在していたため、より安くて数を揃えやすいうえ、より優れた加速性能や機動性を発揮できる戦闘機を開発する方針になり、F-16戦闘機が誕生しました。
まず、F-16の大きな特徴として翼と胴体を一体的に設計したことが挙げられます。この設計によって空気抵抗を減らし、機体もF-15と比べて小さく、軽くなっています。
また、同設計によって従来よりも広い胴体内のスペースを確保できたので、燃料搭載量の増大とそれに伴う航続距離の延伸を実現しました。
さらに、本機は最初からフライ・バイ・ワイヤ(FBW)の技術を導入した機体としても有名ですが、これはパイロットの操縦を電気信号に変換してコンピューターがアシストしてくれる制御システムのことを指します。
今では普通に見られるこの操縦システムも当時は画期的な技術であり、飛行時の安定性と良好な運動性能に大きく寄与しています。
高性能機なのに意外に安い?(出典:アメリカ空軍)
エンジンは1基のみを搭載した単発式であり、当初はコストを抑えるためにF-15と同じものを採用していましたが、現在は戦闘爆撃型のF-15Eや日本のF-2戦闘機も採用しているF-110エンジンを搭載しています。
最高速度こそF-15には及びませんが、前述の設計やFBW技術のおかげもあって特に低高度での運動性能ではF-15を上回っているそうです。
ちなみに、航空自衛隊のF-2戦闘機はF-16をベースに日米で共同開発した機体になります。
コメント