ドイツの優秀な自走砲
高性能で知られるドイツ製兵器のうち、ウクライナにも供与された「PzH2000自走榴弾砲」は自走砲の中でも世界最強と評されるほどです。
- 基本性能:PzH2000自走榴弾砲
重 量 | 55.3t |
全 長 | 11.67m |
全 幅 | 3.58m |
全 高 | 3.46m |
乗 員 | 5名 |
速 度 | 時速60km |
行動距離 | 420km |
兵 装 | 52口径155mm榴弾砲×1 7.62mm機関銃×1 |
発射速度 | 毎分10発(最速) |
射 程 | 最大67km |
価 格 | 1両あたり約10億円 |
「パンツァーハウビッツェ2000(装甲榴弾砲2000)」の略称であるPzH2000は、1998年から配備が始まったものの、名前に付いている「2000」という数字は2000年の実用化を目指して開発されたからです。
55トンという重さにもかかわらず、舗装道路では時速60km以上を発揮できたり、不整地でも時速45km程度は出せるほどの機動力を持っています。これはドイツが得意とする高性能エンジンと変速機に加えて、レオパルト1戦車の頑丈なキャタピラとサスペンション部分を流用したからです。
防御面では機関銃弾や砲弾の破片に耐えられる装甲を持ち、NBC兵器(放射能・生物・化学兵器)に対する防護システムも装備されました。また、防護材を追設すれば、弱点である車体上部も強化できます。
火力については西側標準の155mm榴弾砲を採用しており、積極的な自動化によって毎分8発の発射速度を実現しました。
まず、砲の角度に合わせてそのまま装填できる自動装填装置、目的別に弾種を選ぶ自動管理装置が手間を大きく省きました。そして、GPS照準と自動射撃管制高精度射撃が高い命中精度をもたらします。
さらに、60発分の砲弾・装薬を収容できるだけでなく、砲身寿命も通常は約2,000発なのに対して、最大5,000発まで耐えられるそうです。
一方、射程距離については通常弾で約36km、ガス噴射で空気抵抗を減らす「ベースブリード弾」であれば約47km、ロケット補助推進弾ならば最大67kmまで延伸できます。これは他の自走砲と比べても長く、通常弾でも36kmというのはなかなかの飛距離です。
さて、現代砲兵戦では射撃位置がすぐに特定されやすく、想像以上に早く敵の反撃が飛んできます。
そのため、すばやく射撃して逃げる(シュート&スクート)が欠かせませんが、PzH2000はこの点にも長けていて、展開・撤収にかかる最短時間はそれぞれ30秒です。
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