X-2心神はどうなったのか?

航空機

最新技術を試す実証実験機

国産ステルス機として一時期かなり注目された「X-2(心神)」ですが、その後は一体どうなったのでしょうか?

⚪︎基本性能:先進技術実証機(X-2)

全 長14.1m
全 幅9.1m
全 高4.5m
重 量9.7t
兵 装なし

X-2は先進技術実証機(Advanced Technology Demonstrator-X)と呼ばれ、次世代戦闘機の開発を見据えた様々な最先端技術を実験するための試作機です。当初はATD-Xと呼ばれていましたが、その後は1950-60年代の実験機「X1G」に続く研究機体という意味で「X-2」の名称を得ました。ただ、三菱重工業を筆頭に国内企業220社以上が参画し、使用部品の90%が国産であることから、「日本の塊」の意味を持つ富士山の異名「心神」で親しまれています。

飛行するX-2(出典:防衛省)

ここでよく散見される勘違いが「X-2=F-3戦闘機」というもの。

X-2はあくまで技術を実験するための機体であり、量産・配備を目指したものではありません。ただ、いずれ開発される次期ステルス戦闘機を考慮して、予め新技術の試験を行うことを目的とはしていました。X-2とF-3は別物になりますが、X-2で得られた技術評価はF-3の開発に活用される予定であるため両者は決して無関係でないのです。

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X-2は、次世代戦闘機の開発を念頭においた試験機ということで、ステルス性能や飛行制御システム、エンジンなどを中心とした新技術が盛り込まれており、それらを評価するのが目的となります。特に今後のカギを握るステルス性能については、電波吸収剤の使用と機体の傾斜を工夫することでレーダー上では昆虫程度の大きさにしか映らないそうです。

また、高性能な飛行制御システムを搭載することで、普通ならば失速する状況でも機体を自動的に制御して運動性を確保する試みも行われています。そして、日本の航空業界における弱点と言われているエンジンも、IHIが主体となって5トン級の出力を持つエンジンを研究・開発しました。このエンジン開発で得られた研究成果は、海自の最新哨戒機P-1のエンジンにも活かされています。

「次」に繋げる存在として

実験機であるX-2は1機のみの製造となり、飛行開発実験団のある岐阜基地への所属となります。日本初のステルス研究機であることから、構想が生まれた1990年代から初飛行の2016年まで長期間の試行錯誤が繰り返されてきました。

しかし、初飛行以降は合計32回の飛行試験を行い、最新技術に関する貴重な実験結果をもたらしました。いくらアイディアが優れた新技術といえども、実際の飛行を通じた試験を経なければただの机上の空論です。その点では、X-2の功績は大きく、まさに「今後」に繋がる数々の実験データを提供したわけです。

X-2の飛行試験の様子(出典:防衛装備庁)

さて、X-2は既に性能試験を終えており、今はいわばお役御免の状況。しかし、それは決して失敗ではなく、予定された試験をきちんと終えたからです。そして、飛行試験で収集した各種データはF-3戦闘機の開発に応用されると思われます。当初の役割を終えたX-2は今後しばらくは岐阜基地に所属し続け、更なる新技術の実験に用いられるかもしれません。ただ、いずれは広報館などに展示される未来が予想されます。

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