空自パイロットが最初に乗る機体
航空自衛隊でパイロットになるには、いくつものコース(課程)を修了せねばならず、みんなが最初に経験するのが初級練習機の「T-7」です。
この練習機は富士重工業が開発したもので、パイロット志望の若者たちが教官から何度も怒られながら、初めて大空で飛ばす思い出の機体になります。
- 基本性能:T-7練習機
全 長 | 8.59m |
全 幅 | 10.04m |
全 高 | 2.96m |
乗 員 | 2名 |
速 度 | 時速412km |
航続距離 | 約900km |
高 度 | 7,600m |
価 格 | 1機あたり約2.3億円 |
T-7練習機は老朽化したT-3の後継として2003年に導入されたあと、飛行教育を担う防府北基地(山口県)と静浜基地(静岡県)に約50機が配備されました。
空自でパイロットを目指す場合、まずは最初の関門である「初級操縦課程」でT-7練習機に乗り、卒業後は戦闘機や輸送機、救難機のコースに別れます。
したがって、パイロットが全員共通して乗るのはT-7だけというわけです。スクランブル発進する戦闘機乗りも、ブルーインパルスで曲芸飛行をする凄腕も、みんなT-7練習機からパイロットの道をスタートしました。
初級訓練に適した操縦性
T-7は同じ富士重工が作った海上自衛隊の「T-5練習機」と似た外見を持ち、同じロールス・ロイス製のターボプロップ・エンジンを搭載して燃費向上と騒音軽減を実現しました。
T-5とは異なり、コックピット内の座席は前後配置になるため、学生は前に座わりつつ、後ろから教官に怒られながら緊張のフライトを行う形です。一方、コックピットは以前のT-3よりも余裕ある設計になり、エアコンも追加されて快適性が改善しました。
ほかにも、大きな主翼と垂直尾翼が特徴的ですが、これが操縦するときの良好な安定性につながり、慣れていない学生の訓練を支えています。
このようにいろいろな思い出の詰まった機体といえるなか、数年以内に後継をどうするかが決まる予定です。
新しい練習機を導入するのか、それとも海自のように同じ機種を追加購入するのかは未定ながら、初級練習機はパイロット育成の根幹であり、訓練にふさわしい機体を選ばねななりません。
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