ブルーインパルスも乗るT-4練習機のスゴさとは?

自衛隊
この記事は約3分で読めます。

プロペラ卒業後に乗る国産ジェット機

航空自衛隊のパイロットはみんな最初にプロペラ型のT-7練習機で初級の操縦練習を行い、卒業後はいよいよジェット練習機へと移行します。

なかでも、戦闘機パイロットを目指す者の多くが「T-4」という中等練習機を経験しますが、これはエンジンも含めた純国産のジェット機で、あのブルーインパルスが使っていることでも有名です。

⚪︎基本性能:T-4練習機

全 長 13m
全 幅 9.94m
全 高 4.6m
乗 員 2名
速 度 マッハ0.9
(時速1,110km)
航続距離 1,300km 
高 度 14,800m
価 格 1機あたり約22.5億円

丸みを帯びた機体から「ドルフィン」の愛称を持つT-4練習機は、川崎重工業が主体となって1980年代後半に開発されました。国産装備品としては珍しく、開発費と量産コストの抑制に成功した結果、現在までに計212機が生産されました。

練習機という特性上、設計では操縦性や安定性が重視されており、特に「遷音速」と呼ばれる音速と亜音速が混在する難しい速度域でも良好な操縦性能を持ちます。

また、遠方の訓練空域まで出向くことを想定して、航続距離と速度はそれまでの練習機より向上しています。

このようにジェット練習機としては優れた性能を持つT-4は、基本操縦課程と戦闘機操縦基礎課程で学生が乗る機体として、芦屋基地や浜松基地に多数配備されています。

こうした課程を通じてジェット機を操る技術を身に付けるわけですが、最終的に目指すF-15J戦闘機やF-2戦闘機とは操縦性のギャップが大きく、操縦しやすいT-4に慣れすぎて戦闘機に移行しづらいとか。

T-4練習機は前席に訓練生、後ろに指導教官が乗るスタイル(出典:航空自衛隊)

練習機という関係から武装はしていないものの、開発元の川崎重工では電子機器を強化、機関砲やミサイルを搭載した武装化案が一時検討されました。

練習機以外では、整備員の教育や基地間連絡、集塵ポッドを取り付けて大気中の浮遊塵を採取する(北朝鮮の核実験時)任務にも使われています。

ただ、やはり最もよく知られているのはブルーインパルスによる曲芸飛行であり、1995年から「戦技研究仕様機」という名称で使われています。この機体は派手な塗装に加えて、低高度警報装置やスモーク発生装置、コックピット内のレイアウトを若干変更した点で通常型と異なります。

一般の方は「T-4練習機」と聞いてもあまりピンと来ないかもしれないなか、ブルーインパルスが乗る飛行機と説明すれば、イメージが浮かび上がります。

後継機はアメリカ製になる?

操縦訓練以外でもいろいろ使われているT-4ですが、すでに生産終了なっているうえ、老朽化も進んでいることから、後継を検討する時期になりました。

防衛装備庁は2021年7月に「T-7およびT-4の後継機」に向けた情報を募集していて、川崎重工が応じるかどうかに注目が集まっています。

あくまで情報提供なので、具体的な提案をする段階ではありませんが、後継機を巡る暗中模索はスタートしたといえます。

下馬評では米空軍も採用した「T-7A練習機」を生産するボーイング社が名乗りあげる可能性が高いとのこと。しかし、今後数十年にわたって日本のパイロットの卵たちが乗る機体になるため、国産企業にも頑張ってほしいところですね。

⚪︎関連記事:パイロット入門編!T-7練習機の価格と後継の行方

コメント

タイトルとURLをコピーしました