日本戦車の地位を引き上げた傑作
陸上自衛隊の戦車といえば最新の10式戦車を思い浮かべる人が多いですが、その前身で日本戦車を世界トップクラスまで引き上げたのが北海道に集中配備されている90式戦車です。
開発当初から対ソ連を睨んだ北方の護りを意識したため、北海道以外のでは目にする機会が極めて少ない戦車ですが、世界各国と肩を並べるまでになった戦後三代目の国産戦車は今なお優れた性能を持っています。
⚪︎基本性能:90式戦車
重 量 | 50.2t |
全 長 | 9.8m |
全 幅 | 3.4m |
全 高 | 2.3m |
速 度 | 時速70km |
乗 員 | 3名 |
兵 装 | 120mm滑腔砲 12.7mm機関銃 7.62mm機関銃 |
価 格 | 1両あたり約8億円 |
90式戦車の特徴としてよく取り上げられるのが、自動装填装置と高精度な射撃能力です。まず、前者は同世代の独レオパルト2戦車も装備していないほど当時としては珍しく、結果的に74式戦車よりも乗員数を1名減らすことができました。
一方、後者の射撃能力については、センサーと連動しながら情報処理する新しい射撃管制装置によって命中率が格段に向上しました。
また、自動追尾機能で戦車砲が目標を捉え続けられるようにしたうえ、車体が激しく揺れても安定装置を用いた高精度射撃が可能です。こうした新機能のおかげで自身と目標の双方が動いていても、命中させられる能力を獲得しました。
これは各種演習でも証明されていて、アメリカ・ワシントン州の射撃訓練では移動しながら3km先の目標に見事命中させたのを目撃したアメリカ軍が驚いたそうです。
それまでの日本戦車といえば、第二次世界大戦時の評判から「弱い」「やられ役」というイメージがあったものの、90式戦車の登場はこの汚名を返上したといえるでしょう。
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防御面では、セラミックを使った複合装甲で軽量化と防護力を両立させて、評価試験の数値上は同世代の西側戦車と比べて遜色ないレベルの防御力を実現しました。
さらに、50トンという重量でありながら良好な機動性を確保しており、米軍のエイブラムス戦車よりも優れた加速性能と制動能力を誇ります。
特に、制動能力は「殺人ブレーキ」と呼ばれるぐらいの効き目があり、時速50kmで走行していてもわずか2メートルで急停止できます。
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