欧州で人気の装甲戦闘車
長らく武装中立を貫いていたスウェーデンは、多くの高性能兵器を開発してきた実績を持ち、その代表例としてよくあげられるのが、グリペン戦闘機や早撃ちで有名なアーチャー自走榴弾砲です。
小規模ながら強力なスウェーデン陸軍は、主力戦車こそドイツのレオパルト2を使っていますが、歩兵戦闘車については独自の「Strf90」シリーズを使っています。国内に500両近くを配備しつつ、輸出向けの「CV90」と合わせて1,200両以上が生産されました。
- 基本性能:Strf9040歩兵戦闘車
重 量 | 23.1t |
全 長 | 6.55m |
全 幅 | 3.17m |
全 高 | 2.71m |
乗 員 | 3名+同乗8名 |
速 度 | 時速70km |
行動距離 | 最大600km |
兵 装 | 40mm機関砲×1 7.62mm機関銃×1 |
価 格 | 1両あたり約12.5億円 |
1990年代に登場したStrf9040歩兵戦闘車は、他国よりも大口径の40mm機関砲を採用しているのが特徴であり、旧式戦車や軽戦車も撃破できるほどの火力を手に入れました。
この機関砲は手動装填式ではあるものの、24発入りの箱型弾薬を使うことで、わずか30秒で再装填可能です。
装甲については14.5mm弾まで想定しているのみならず、最新車両にいたっては30mm機関砲にも耐えられるそうです。
ほかにも、NBC兵器に対する防護力、赤外線探知を避けるための排熱抑制機能、そして砲弾の破片などから乗員を守る特殊な装甲板が与えられました。
こうした工夫のおかげで、実戦投入されたアフガニスタン戦争では数両が即席爆弾(IED)によって失われる一方、機関銃やロケット弾の直撃から乗員だけは守り切りました。
ウクライナへの実戦投入
Strf9040はスウェーデンの国土や厳しい冬季気候を想定しているため、積雪や湿地帯での機動には優れており、似た環境を持つ北欧諸国でも多く採用されました。
これら輸出版は武装を30mmや35mm機関砲に変更したり、増加装甲と対戦車ミサイルを追加したタイプが存在します。また、スウェーデン本国で運用されている指揮車タイプや装甲回収車も加えれば、派生型の数は15種類にのぼります。
こうしたファミリー化にも成功するなか、この先もハイブリッド・エンジンへの換装や情報共有能力の強化、無人機運用を目指した改良型が登場する予定です。
さらに、ロシア=ウクライナ戦争ではウクライナ側に約50両が供与されたあと、最前線での火力支援・人員輸送任務に就いています。もちろん、激しい戦闘の結果として損害も出ていますが、ほかの西側車両と同じく、その生存性の高さを証明しました。
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