C-1、戦後初の国産輸送機

航空機

空自の輸送能力を飛躍させた貢献機

防空以外にも航空輸送を担う航空自衛隊は最新のC-2輸送機や世界的ベストセラーのC-130輸送機を運用中ですが、戦後初の国産輸送機として輸送力を長年支えてきたC-1輸送機もわずかながら保有しています。後継のC-2に座を譲ってまもなく姿を消すC-1は果たしてどのような航空機だったのか?

⚪︎基本性能:C-1輸送機

全 長29.0m
全 幅30.6m
全 高9.99m
乗 員5名
速 度時速830km
航続距離空荷時:約2,400km
2,6t搭載時:約1,700km
高 度 11,600 m
輸送能力人員:60名
(空挺降下の場合は45名)
貨物:約10トン
価 格1機あたり約45億円

1973年から運用が開始されたC-1は日本が戦後初めて開発した輸送機であり、それまでの空自輸送機では対応できなかった大型装備の搭載や空中投下を可能にして自衛隊の戦術輸送能力を大きく向上させました。肝心の貨物室はトラックや開発時の主力火砲だった105mm榴弾砲などを収容でき、機体後部の貨物扉や今では標準装備となったパレット・システムを採用することで搭載および荷卸しに要する労力・時間を削減しました。一方、人員輸送時は座席を設置したうえで通常人員60名、フル装備の空挺部隊ならば45名まで乗せられるほか、災害派遣や医療搬送で使う場合は担架を取り付けて36名の患者を収容可能です。

また、開発にあたって短距離離着陸性能を追求した結果、離着陸に必要な滑走距離はそれぞれ460mと600mという異例の数値を実現し、全国の基地や空港で運用可能となりました。しかし、開発時は現在のような海外派遣を想定しておらず、小笠原諸島と沖縄も返還前であったことから航続距離は意外に低く抑えられ、このことが本土復帰後に性能不足という形で問題となりました。一応、増槽の設置や給油によって航続距離不足は乗り切ってきたものの、この「足の短さ」がC-1の欠点として長年惜しまれてきたのも事実です。

C-2に後を託してまもなく退役

計31機が導入されたC-1輸送機は各基地間における人員および貨物の輸送、第1空挺団を始めとする陸自部隊の訓練支援を半世紀近く行ってきたほか、一部は訓練用の電子戦機に改造され、最初の試作機に至っては飛行実験機としてP-1哨戒機などのエンジンをテストした実績を持ちます。

そんなC-1も老朽化が著しく、後継で同じ国産のC-2輸送機が登場したことで順次退役が進められ、現在の保有数は7機ほどになりました。海外派遣を含めた長距離輸送を念頭に置いたC-2輸送機はC-1の短所であった航続距離問題を解決したのみならず、輸送能力と機内の快適性でもC-1を大きく上回っています。開発時は不具合に見舞われたことで当初予定よりも配備が遅れたC-2ですが、現在は量産と部隊での運用が問題なく行われているので、残されたC-1がこの国産後継機に後を託して姿を消す日も近いでしょう。

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