潜水艦の天敵?海上自衛隊のSH-60哨戒ヘリが持つ重要性

海上自衛隊
この記事は約3分で読めます。

海中の潜水艦にとって最も厄介な存在

水上艦艇にとって潜水艦は最大の脅威といえる一方、潜水艦にも対潜哨戒機という「天敵」が存在します。

こうした対潜哨戒機には、P-3CやP-1のような固定翼機がありますが、実際の潜水艦乗りにとっては、長時間も頭上を飛び続ける対潜哨戒ヘリの方が厄介だそうです。

そんな対潜哨戒ヘリで最も有名なのがアメリカが開発して、日本も導入しているベストセラー「SH-60シーホーク」になります。

⚪︎基本性能:「SH-60J/K」哨戒ヘリ

  SH-60J SH-60K
全 長 19.8m 19.8m
全 高 5.2m 5.4m
乗 員 4名 4名
速 度 時速276km 時速257km
航続距離 584km 900km
兵 装 対潜短魚雷×2
7.62mm機関銃×1
対潜短魚雷×2
対潜爆弾×2
対艦ミサイル×4
7.62mm機関銃×1
価 格 1機あたり50億円 1機あたり60〜70億円
配備数 14機 80機 

多くの護衛艦に搭載されているシーホーク・シリーズは、「対潜の鬼」とも称される海上自衛隊に欠かせない機体です。

この哨戒ヘリは機上ソナー、潜望鏡を探知するレーダー、そしてわずかな磁気も捉えられる磁気探知機を使って、海中の潜水艦を発見・追跡します。

吊下式ソナーを使って潜水艦を探す哨戒ヘリ(出典:海上自衛隊)

通常は僚機や水上艦艇と連携しながら活動するものの、データリンクの圏外でも単独作戦を遂行できるように「ソノブイ」と呼ばれる吊下式の簡易ソナーも搭載しています。

このソノブイを25個も搭載することで、1機で広範囲にわたる捜索能力を獲得しました。

中身をアップグレードした「SH-60K」

現在は「SH-60J」と「SH-60K」の2種類が運用されていますが、1991年から配備が始まった前者は100機以上も調達されています。P-3C哨戒機とともに日本近海の潜水艦を探知・監視するのみならず、海上救難や急患搬送にも従事する汎用ヘリとしても活躍してきました。

これに対して、後継の「SH-60K」は外見こそあまり変わりませんが、中身については以下のように刷新されました。

・軽量で高強度なメインローターの採用
・新型ソナー、レーダーによる探知能力の大幅向上
・新型情報処理システムを用いた効率的な探知と追跡
・ミサイル警報装置、チャフおよびフレアの搭載
・対潜爆弾、対艦ミサイルの搭載

まず、「SH-60K」は探知能力と情報処理能力が向上した結果、僚機や艦艇との情報共有がよりスムーズになり、連携して戦う「ネットワーク型戦闘」に対応しています。

さらに、従来は使えなかった国産の97式短魚雷や最新の12式短魚雷、対潜爆弾、対艦ミサイルも搭載できるため、攻撃力は格段に強化されています。深海域に潜む敵には最新の短魚雷を使い、浅海域にいる潜水艦には対潜爆弾で対処するわけです。

一方、対艦攻撃用の「ヘルファイアII」は命中箇所次第では戦闘力を奪えるものの、射程が短く、もともと対戦車ミサイルである点を考えると、撃沈するのは難しいでしょう。

以上のようにアップグレードされた「SH-60K」がすでに80機近くも配備されているなか、海自ではさらなる能力向上型「SH-60L」を開発して、試験運用しています。この能力向上型は洋上の警戒監視能力を高めつつ、より統合的な対潜戦を行える哨戒ヘリになる見込みです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました