無人機で代替・更新へ
ロシア=ウクライナ戦争が起き、台湾有事が現実味を帯びるなか、日本は自衛隊の増強に加えて、大規模な組織改編を実施しました。
いろいろ発表された防衛政策のうち、陸上自衛隊の攻撃ヘリ部隊をなくして、ドローンで代替する方針が波紋を呼び、大きな議論を引き起こしました。
日本型組織としては異例の決断、思い切った方針転換ですが、これは早まった感があります。
- 廃止予定の機種と後継機
| 装 備 品 | 機 数 | 後 継 |
| OH-1観測ヘリ | 37機 | 「スキャンイーグル2」 |
| AH-1S攻撃ヘリ | 52機 | 無人攻撃機(未定) |
| AH-64D攻撃ヘリ | 12機 | 無人攻撃機(未定) |
上記のとおり、陸自は3種類のヘリを廃止したあげく、無人機で更新つもりですが、目的は省人化と余剰人員の確保です。
陸・海・空のうち、陸自は最も人数が多いとはいえ、人手不足に悩む点は変わらず、定数を満たしている部隊は稀です。特にパイロットは適性が求められる以上、その確保は通常の隊員より難しく、このままで部隊を維持できません。
攻撃ヘリの部隊をなくせば、最大1,000名の人員が浮き、サイバーなどの他分野に向けられます。安全保障環境の激変、少子化の影響をふまえると、ある程度の選択と集中はやむを得ず、方針自体は間違っていません。
ただ、攻撃ヘリを「全廃」すると、将来的に後悔する可能性が高く、もう一度よく考えるべきでしょう。
退役と存続の選別を
廃止予定の機種のうち、OH-1観測ヘリは機動性は高いものの、リアルタイムで映像を送れず、明らかに時代遅れの機体です。そして、偵察こそドローンで代わりが務まり、専用の有人機は使い道が限られる以上、OH-1の廃止は妥当な判断でしょう。
後継は「スキャン・イーグル2」ですが、安価で性能的にも問題はなく、OH-1の代替を果たしてきました。
一方、AH-1S攻撃ヘリは数が多いとはいえ、これ以上の近代化改修は難しく、機体の老朽化も進んでいます。
AH-64の廃止は早計(出典:陸上自衛隊)
ここまでは旧式化が要因であって、まっとうな退役理由ですが、問題はAH-64Dの廃止です。AH-64Dの廃止にともなって、陸自は攻撃ヘリ部隊そのものを失い、運用上のノウハウが途絶えます。
AH-64Dは次世代の主力にあたり、AH-1Sの後継だったにもかかわらず、調達の失敗で12機しかありません。それゆえ、あまり戦力としては期待できず、普段の稼働数は3〜4機にすぎません。
いっそのこと廃止して、整理したい心は分かります。
また、防衛省は必要とあらば、UH-2多用途ヘリに武装を積み、最低限の攻撃力とともに、ノウハウの維持を図るつもりです。しかし、いくら同じヘリといえども、攻撃機と輸送機では根本的に違い、その実現性には疑問がつきます。
しかも、攻撃ヘリの全廃は世界的に例がなく、失敗時のリスクは大きいです。もし再び攻撃ヘリが必要になれば、有力候補はAH-64の最新型でしょうが、一度失ったノウハウは簡単には取り戻せず、再建には相当な時間と労力を要します。
欧米の造船業しかり、アメリカの製造業しかり、技術と能力の喪失は取り返しがつかず、将来的に攻撃ヘリを再導入する可能性、部隊の技能維持の観点で考えると、AH-64Dだけでも残すべきでしょう。

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