P-1のライバル?P-8ポセイドン哨戒機の武装と価格

アメリカ軍の哨戒機 アメリカ
この記事は約3分で読めます。

英豪印も導入したアメリカの最新哨戒機

広大な海のパトロールには上空から監視する哨戒機が必須で、特に四方を海に囲まれた日本は太平洋戦争の教訓から戦後は対潜哨戒機の運用に注力してきました。

日本の海上自衛隊はアメリカ製のP-3C哨戒機を100機近く導入してソ連潜水艦を見つける「対潜の鬼」と化したのは有名な話ですが、そんなP-3Cの後継機として登場したのがアメリカの最新哨戒機「P-8ポセイドン」です。

日本も一時はこのP-8哨戒機の採用を検討したものの、結局は独自開発した国産のP-1哨戒機を選択したのでP-8はしばしばP-1のライバルと認識されることがあります。

⚪︎基本性能:P-8哨戒機

全 長 38.6m
全 幅 35.8m
全 高 12.8m
乗 員 乗員9名
速 度 最大時速907km
航続距離 約7,500km
高 度 約12,500m
兵 装 対潜魚雷、対潜爆弾
ハープーン対艦ミサイル
価 格 1機あたり約160億円

旅客機のボーイング737をベースに開発されたP-8ポセイドンは、新型の対潜ソナーや対水上レーダーを搭載して、従来より探知・監視能力を飛躍的に高めました。

P-3Cと比べて、投下式の小型ソナー「ソノブイ」の搭載数は84本から129本に増強されて、再装填と投下作業が自動化されました。

こうした改良点に加えて、操縦性の向上と任務に応じた各種兵器の搭載、空中給油機能を用いた航続距離の延伸など、哨戒任務を遂行するうえで欠かせない堅実な性能を持ちます。

一方、メイン顧客である米海軍向けのP-8哨戒機(P-8A)は、最初から無人機との運用を視野に入れており、特に低高度での哨戒は「MQ-4Cトライトン無人機」と連携するつもり。

また、音響探知技術の向上で潜水艦の位置特定が容易になったことで、潜水艦が発する磁場の乱れを捉える磁気探知機(MAD)は搭載していません。

この無人機との連携前提やMADを装備してない点が海自のP-1哨戒機との相違点ですが、設計上は機体尾部へのMAD搭載も可能なので、インドに輸出されたタイプ(「P-8I」 ネプチューン)は先方の要求に従って装備されました。

飛行する米海軍のP-8A哨戒機(出典:アメリカ海軍)

さて、2013年から運用が始まったP-8は、アメリカ以外にもイギリス、オーストラリアなどの同盟国、そしてロシア製兵器のお得意様であるインドも購入したおかげで、計155機以上が生産されています。

当初は高い調達コストと無人機との連携前提が輸出に悪影響を与えると懸念されましたが、その後は量産効果で単価が200億円から160億円台まで下がりました。

そして、電子機器を含む改造に対する許可や相手国の要求にも応じる姿勢が功を奏し、7カ国での採用という堅調な成績になりました。

スペック上は日本のP-1哨戒機も決して負けてないものの、輸出実績の無さと量産コストの低減が見込めないことが足かせとなって、輸出面ではP-8に敗北を喫しています。

ただ、最初から無人機との運用を見据えたうえ、将来的には無人潜水艇との連携も目指すP-8哨戒機は、海自のP-1哨戒機とはそもそも「似て非なるもの」とも考えられます。

⚪︎関連記事:失敗でも欠陥でもない海上自衛隊・P-1哨戒機

コメント

タイトルとURLをコピーしました