優れたステルス性と垂直離着陸機能
日本の空を守る航空自衛隊にとって戦闘機は欠かせませんが、目まぐるしく進化する航空技術に対応するためには望み得る限り最高峰の機体を導入せねばなりません。
そこで現在調達が進められているのが最新鋭のステルス戦闘機「F-35」であり、開発元のアメリカを含む世界各国で主力戦闘機として着々と導入されています。
開発当初の不具合や価格の高さから「欠陥」との批判を一時浴びたF-35ですが、現在はステルス戦闘機における西側標準の地位を築き上げました。
⚪︎基本性能:F-35A戦闘機
全 長 | 15.67m |
全 幅 | 10.67m |
全 高 | 4.39m |
乗 員 | 1名 |
速 度 | マッハ1.6 (時速1,930km) |
航続距離 | 約2,200km |
高 度 | 約18,200m |
武 装 | 25mm機関砲×1(固定) 対空ミサイル 対地ミサイル 対レーダーミサイル 誘導爆弾など |
価 格 | 1機あたり約100億円 |
「ライトニングII」の愛称を持つF-35ステルス戦闘機はアメリカ空軍、海軍、海兵隊が使用するマルチ戦闘機として開発され、通常の「A型」に加えて短距離離陸・垂直離着陸機能を持つ「B型」、そして空母搭載用の「C型」が存在します。
他国への輸出が禁じられたF-22戦闘機と異なり、F-35は最初から同盟国などへの輸出も想定していたことからイギリスやドイツなどのNATO諸国、イスラエル、韓国、オーストラリアなど15カ国以上が採用しました。
日本も老朽化したF-4ファントムの後継機としてF-35Aを42機導入するつもりでしたが、中国の軍拡を受けて最終的に105機のF-35Aと空母化される「いずも型」護衛艦の艦載機として42機のF-35Bの調達するため、将来的にはアジア太平洋では最大のF-35保有国になる予定です。
F-35戦闘機といえば、やはりその優れたステルス性が最も有名で、従来のF-15J戦闘機と比べてレーダーに映る面積は最大20倍以上の差があるとされ、一説には小鳥程度の大きさにしか映らないとか。
これは機体の素材に電波吸収材を使い、その上に電波を吸収する特殊塗料をさらに用いることで実現しましたが、機体のあらゆる箇所を直角ではなく、傾斜をつけて、当たった電波を別方向に逸らします。
これら各種工夫のおかげで圧倒的なステルス性能を発揮できる本機ですが、普段は電波をあえて反射させる「リフレクター」と呼ばれる装置を付け、識別信号を発することで航空管制上の事故を防ぎます。

もうひとつの大きな特徴としては、米海兵隊向けのF-35Bは短距離離陸・垂直離陸機能(STOVL)を持つ点が挙げられ、通常の戦闘機が2,000m級の滑走路を要するのに対して、F-35Bは最短200mほどで離陸可能。
したがって、アメリカ海軍の強襲揚陸艦や海上自衛隊の「いずも型」護衛艦でも運用可能で、2021年10月には米海兵隊のF-35Bが「いずも」での離発着に成功しています。
空母「いずも」「かが」で運用されるF-35Bは防空の空白地帯となっている大東諸島〜小笠原諸島の空域を守るのに使えるうえ、短い滑走路しか持たない離島の空港にも緊急展開することで運用拠点を分散化できます。
一応、STOVL機は搭載できる燃料や兵器が通常型より少なく、複雑な機体構造から整備が難しいというデメリットがあるものの、F-35の優れた性能を考慮すればわずか数機でも敵にとって脅威になるのは確実です。
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