ネットワーク型で戦える力
さて、F-35といえば、前述のステルス性やSTOVL機能に目が行きがちですが、ソフトウェアを含む「中身」も革新的進化を遂げており、最初から僚機や早期警戒管制機、地上レーダーと情報共有しながら戦うネットワーク型戦闘を目指して作られました。
こうした運用思想を受けて、F-35はレーダーなどが獲得した情報を統合させて、コックピットのタッチパネル・ディスプレイやヘルメット内に表示します。おかげでパイロットの状況認識が容易となり、ネットワーク型への対応と合わせて効率的な戦闘ができるようになりました。
すなわち、F-35の本当に恐ろしいところは、単体での攻撃力よりも圧倒的に優れた情報収集能力とデータリンク（情報共有）にあるのです。
実際、ウクライナ周辺を飛ぶだけでロシア軍の防空拠点などを調べつくし、ウクライナ側にその情報をすばやく連携しました。
まさに最新テクノロジーを凝縮した形ですが、当初は旋回時における飛行性能の悪さ、電子戦能力の不足、緊急脱出時の座席の不具合といった問題点が指摘されて、「欠陥機」との批判を受けました。
しかし、これらの諸問題は改良やソフトウェアの更新によって解決され、高騰していた調達価格も日本を含む西側諸国が続々と購入したこ量産コストが下がり、現在の平均単価は100億円を切りました。
日本のF-35A戦闘機（出典：航空自衛隊）
このように値段のわりには最高のステルス性、ソフトウェアを含む優れた総合性能を持つF-35戦闘機は、実戦経験についてはテロ組織への空爆などはあるものの、本格的な戦闘実績はありません。
ただ、米空軍の演習ではステルスや電子機器などの優位性を生かしたところ、F-16戦闘機を20機以上も一方的に撃墜していて、F-22戦闘機の次ぐ最強の戦闘機と評価されました。
ただ、F-22はあくまで「制空用」であって、生産も終了している点を考えると日本を含む世界各国が導入できるステルス戦闘機としては間違いなく最強です。
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