SeaRAMの実力とは?

ミサイル

CIWSの一種として

現代の海戦は主にミサイルを使った攻防が行われるため、防空能力の差が勝敗を分けると言っても過言ではありません。通常の対空戦闘では、まずは対空ミサイルを放って迎撃を試みますが、撃ち漏らした場合は艦砲もしくは20mmファランクスなどの近接防御システムを使います。

艦艇にとって文字通り「最後の砦」となるのが近接防御システム(以下「CIWS」)ですが、実は一般的かつ主流のバルカン砲ではなく、短距離ミサイルを使うバージョンも存在します。それが近年搭載する艦が増えている「SeaRAM(シーラム)」です。

ここで重要なのが、SeaRAMというのは発射機を含めた兵器システムの総称であり、ミサイル本体は「RAM」というアメリカとドイツが1970〜80年代に開発した近接防空対空ミサイルなのです。

また、以前20mmファランクスの記事で説明したように、CIWSというのは近接防御システムの総称であり、特定の兵器を指しているわけではありません。したがって、RAMミサイルを用いたSeaRAMも、CIWSの一種なのです。

お手頃な簡易防空システム

⚪︎基本性能:RAM(最新のブロック2)

全 長2.82m
直 径14.6cm
重 量88.2kg
弾頭重量11kg
射 程10〜15km
速 度マッハ2.5
(時速3,087km)
高 度8,000m
価 格1発あたり約5,000万円

正式名RIM-116のRAMは短距離の防空ミサイルであるものの、発射後はミサイル自身が目標を探知して追尾する「撃ちっ放し能力」を有しているため、使い勝手が非常に良く、数発を一斉に発射することも可能です。

最もRAMを運用している米海軍では「95%」という命中率を出しており、迎撃ミサイルとしては十分信頼できる性能を持っています。ただ、撃ち尽くした後は再装填が必要であり、時間がかかるので、21連装型の発射機で運用することが多かったようです。

「GMWS」と呼ばれる21連装型のRAM発射機、SeaRAMとは異なるが使うミサイルは基本同じ(出典:米海軍)

そして、「SeaRAM」とはこのRAMミサイルを11発収めた発射機を中心に、独自のレーダーやセンサーを備えた自己完結型の防空システムを指します。この簡易防空システムは、本格的な防空能力を持たない艦艇では重宝されており、日本では「いずも型ヘリ空母」と「もがみ型護衛艦」で初めて採用されました。

さて、気になるコストについてですが、RAM自体は1発あたり約5,000万円と推定されます。日本はSeaRAM用に51発のミサイルを約65億円でアメリカから購入したそうですが、この金額にはミサイル本体に加えて運用マニュアルやサポート用システムも含まれています。おそらく、11連装のSeaRAMの場合、兵器システムのコストは1基あたり約7億円ほどでしょう。

一般的な感覚からすれば決して安くはありませんが、本格的な防空システムを装備した場合のコストと手間はこの比じゃないので、防空システムの買い物としては安い部類に入ります。さらに、20mmファランクスと比べた場合でも、RAMは倍以上の射程を誇るのでミサイルの迎撃にはより効果があります。

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