陸上自衛隊の85式地上レーダ装置が果たす重要な役割

85式地上レーダ装置 陸上自衛隊
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周辺の地上目標を探知

戦場での偵察任務において、肉眼では夜間や悪天候に対応しきれず、敵の動きを十分に把握できません。そのため、陸上自衛隊では人間の弱点を補い、昼夜・天候を問わず監視するべく、「85式地上レーダ装置」を使用してきました。

  • 基本性能:85式地上レーダ装置
重 量 約1.3トン
運 用 75式中型トラック:JTPS-P11
82式指揮通信車 :JTPS-P12
捜索距離 最大20km
捜索範囲 120度
価 格 不明

NECが開発・製作を担い、1986年に配備が始まったものの、採用された年度に基づいて、「85式」という名称になりました。その後、「地上レーダ装置1号」に変わり、現在はその名が定着したとはいえ、ここではあえて「85式」と呼称します。

そんな85式は敵兵と車両の動向をつかみ、味方に伝える地上監視レーダーなれども、海岸付近まで移動・進出すれば、海上の船舶も監視できます。従来の71式地上レーダに代わり、主に機甲科の偵察隊で運用しながら、移動目標の察知を担当してきました。

レーダー装置はアンテナに加えて、送受信機能・指示制御機能・電源から成り、総重量は約1.3トンにのぼるため、トラックに搭載せねばなりません。アンテナが最大7.5mまで伸び、車体の大部分を物陰に隠す場合、アンテナだけ突き出す格好です。

あのドップラー効果を使う

捜索には「ドップラー・レーダー」を使い、Xバンドの周波数で電波を出しながら、約20〜30kmの範囲をカバーします。ただし、これは地形などで大きく変わり、実際の探知能力は状況次第でしょう。また、一度に捜索できる範囲は120度にとどまり、怪しい方角に監視範囲を絞り込み、重点的に電波を指向する仕組みです。

ちなみに、「ドップラー」といえば、救急車が近づくときはサイレン音が高く、遠ざかるときは低く聞こえる、あの「ドップラー効果」と同じ原理です。

電波でも同様の現象が起き、動く目標に照射した電波がはね返ると、その反射波は周波数でわずかにズレます。この移動目標の「ズレ」を検出すると、地面や静止目標と区別できるそうです。このドップラー方式は悪天候に強く、動く目標だけを選び抜き、探知できると言われています。

なお、同じ85式地上レーダ装置といえども、実際には2つの種類があって、ひとつが「JTPS-P11」というもの。これは73式中型トラックで持ち運び、もうひとつの「JTPS-P12」は82式指揮通信車で運用します。

どちらも能力に大差はなく、あくまで運用車両が違うものの、すでに採用から40年以上が経ち、近年は能力不足が指摘されてきました。また、いくら移動展開ができるとはいえ、大型車両での運用は目立ってしまい、2007年には「高機動車」で使える新型が登場しました。

これは「地上レーダー装置1号 (改)」と呼び、85式の後継にあたりますが、多目標の同時追尾機能が加わったほか、目標の識別能力が大きく改善されています。しかし、最近の防衛費増額まで予算が足りず、現在も85式を使う部隊は多い状況です。

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