近接航空支援をアシスト
現代戦では航空支援が欠かせず、敵の地上部隊を対地攻撃しながら、味方を助ける近接航空支援もそのひとつです。
日本で地上戦になれば、陸上自衛隊の攻撃ヘリが対地攻撃を行い、ここに航空自衛隊の戦闘機が加わります。後者の攻撃において、戦闘機を目標まで誘導したり、陸自と事前調整するのが「航空支援隊」です。
築城基地(福岡県)に拠点を置き、1985年に創設された部隊ですが、その任務は空地作戦であって、要は陸上自衛隊との協同作戦です。
戦争映画で歩兵が無線で味方を呼び、しばらくして戦闘機が飛んできたあと、敵を空爆するシーンがありますが、空地作戦とはまさにそのイメージです。
航空支援隊は現場での誘導と調整を担い、空自では唯一の専門部隊として、他部隊の空地作戦要員を育成してきました。
具体的な役割を述べると、戦闘機が誘導爆弾を投下するとき、目標付近まで無線で誘導しながら、投下のタイミングを指示したり、命中するまでの爆弾誘導、終末誘導を実施します。
たとえば、「JDAM」のような精密爆弾を使う場合、目標に対してレーザー光線を放ち、誘導の最終部分を担当するわけです。いわゆる「爆撃誘導員」「終末誘導員」が所属しており、日頃から戦闘機との連携訓練に取り組み、他部隊にも教えてきました。
当然、目標まで接近せねばならず、比較的危険度の高い任務ですが、そもそも地上目標の破壊となれば、本来は陸上自衛隊の役目であって、彼らとの事前調整・連携が欠かせません。
味方への誤爆防止は言うまでもなく、攻撃のタイミングと火力の調整、陸自側の航空機との役割分担が必須です。陸自は自らも攻撃ヘリを飛ばすため、同様に空地作戦要員が働き、攻撃時の重複と混乱を避けるうえでも、空・陸の連携が必要になります。
たった10名で活動?
問題は爆弾・終末誘導員どころか、航空支援隊の所属人員の少なさです。
その数は2014年時点で約10名と少なく、現在でも20名未満と思われます。これは4.7万人の航空自衛官のうち、わずか0.02%という比率にすぎず、恐ろしいほど狭き門といえます。
部隊は2等空佐(中佐)の指揮の下、他者との協同作戦の研究にも励み、日米共同演習に参加したり、陸海空の各部隊を教育してきました。
ただし、改めて注意したいのが、約10〜20名の小部隊ではあるものの、これが空地作戦の全員ではありません。
前述のとおり、陸自にも誘導する隊員がいるほか、空自の他部隊にも配置されています。航空支援隊ほどではないにせよ、空地作戦を実施できる能力を持ち、多くの現場では彼らが頼りです。
陸自に教える様子(出典:航空戦術教導隊)
ただ、戦闘機と爆弾の誘導になると、陸自側のノウハウは十分とはいえず、やはり航空支援隊に調整、助言してもらう必要が出てきます。空自の他部隊に関しても、そもそも対地攻撃の経験が少なく、兵器も誘導爆弾に限られていました。
航空支援隊も出動するとはいえ、実際に出動できる人数を考えると、重要度の高い任務に割り振り、普段は技能を普及させる教官の立場です。言いかえると、航空支援隊は「教える側」でもあって、戦闘機部隊における「アグレッサー」、防空部隊から見た「高射教導群」に匹敵します。
空自では異色の訓練
事実上の教官になる以上、航空支援隊はその道のプロですが、アメリカ国防総省が認定する特殊資格、「統合末端攻撃統制官(JTAC)」の保持者がいるなど、自衛隊全体でも超レアな存在です。
JTAC保有者は陸自の富士学校、水陸機動団にもいるとはいえ、空自では航空支援隊にしかおらず、一種の特殊部隊といえるでしょう。
その任務の特殊性からか、訓練は他の空自部隊と違って、地上での射撃・警備訓練はもちろん、水泳・車両操縦・ヘリからの降下を含み、空自らしからぬ教育内容です。
誘導訓練の様子(出典:航空戦術教導隊)
普段から陸自と関係が深く、富士学校の教育を支援をしたり、特殊作戦群と訓練してきました。特に後者は敵地に入り込み、破壊工作に従事するため、そのまま孤立する可能性が高く、密接な航空支援を要請しながら、全滅を防がねばなりません。
これら訓練では陸上自衛官に交じったり、陸自の装備品を借りることが多く、航空自衛官であるにもかかわらず、かなり「陸っぽい」仕事をこなします。


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