政府専用機の秘密!知られざるその内部と装備

自衛隊
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実際の運用は航空自衛隊が担当

天皇陛下や総理大臣の外国訪問に使用される政府専用機は外国の空港に降り立つ日本の「顔」ともいえますが、実はこの機体は航空自衛隊によって運用されており、パイロットと客室乗務員を含む乗組員は航空自衛官なのです。

一方、航空自衛隊の管轄下にありながら取得費は防衛予算ではなく、内閣府の予算から捻出されたという不思議な経緯を持ちます。

⚪︎基本性能:日本国政府専用機(2代目)

全 長 73.9m
全 幅 64.8m
全 高 18.9m
速 度 時速925km
航続距離 14,000km
乗 員 最大150名
価 格 1機あたり約680億円

政府専用機の正式名称は「日本国政府専用機」ですが、管理及び運用を行う航空自衛隊では「特別輸送機」と呼びます。

原則「正・副」の2機体制で運航され、整備員と予備部品が同行することで外国でも問題なく整備を行えるようになっていますが、政府としては本当は予備機を加えた3機体制にしたかったそうです。ところが、1機あたり約680億円もするため、予算の関係で断念しました。

現在の政府専用機は2代目にあたり、民間機でも多数見られるボーイング777型、トリプル・セブンをベースにしていますが、分類としては軍用機に該当します。

武装はしていませんが、軍用機の標準装備である敵味方識別装置を備えており、れっきとした自衛隊機。所属は航空自衛隊の千歳基地ですが、通常は新千歳空港の専用ハンガーに格納されて全日空(ANA)が整備を行っています。

尾翼の大きな日の丸と赤い流線が特徴的な政府専用機(出典:航空自衛隊)

ちなみに、初代・政府専用機は日本航空(JAL)が整備を任されていましたが、JALが破産したことで余力がなくなったため、栄光ある2代目の整備はANAに託されました。そして、この整備を委託されたANAは客室乗務員を務める自衛官への研修と訓練も担当します。

本機のコールサインはお馴染みの「Japanese Air Force One(日本国エアフォースワン)」であり、2番機は「Japanese Air Force Two」になります。

ただ、同じエアフォースワンでもアメリカのものとは異なり、その使用はあくまで「公用」に限られます。

例えば、アメリカの政府専用機は選挙戦や保養地への移動など、大統領が割と私的に使っていますが、日本のは海外訪問時にのみ使われます。このように同じ政府専用機でも日米でかなり違いがあるのです。

意外に歴史が浅い日本の政府専用機

さて、現在活躍している機体は「2代目」と説明しましたが、そもそも日本の政府専用機の歴史は意外に短く、最初に導入が決まったのは1987年。

では、それまではどうしていたのか?

実は、JALを中心とした民航機を毎回チャーターしていました。

しかし、民間機ではいざという時に「空飛ぶ官邸」の役割を果たせるわけがなく、また当時は深刻な日米貿易摩擦の真っ只中であったこともあって、ボーイングから政府専用機を購入して心象を良くしようとしました。

初代・政府専用機のジャンボ・ジェット(出典:航空自衛隊)

こうして導入された初代・政府専用機は、ボーイング747、いわゆるジャンボ・ジェットだったのは記憶に新しいと思いますが、その運用期間は1992年から2019年の27年間でした。そして、専用機材を全て外した後、外国に売却されました。

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