英国製をライセンス生産
アメリカ陸軍の榴弾砲といえば、155mmの「M777」が知られていますが、ひと回り小さい「M119」105mm榴弾砲も運用中です。
これはM777より機動性が高く、山岳師団や空挺部隊を中心に使い、アフガニスタンとイラクでも活躍してきました。
- 基本性能:「M119」105mm榴弾砲
| 重 量 | 23t |
| 全 長 | 8.8m |
| 全 幅 | 1.78m |
| 口 径 | 105mm |
| 人 員 | 5〜7名 |
| 射 程 | 約14〜19.5km |
| 連射速度 | 毎分8発(3分間) 毎分3発(30分間) |
| 仰俯角 | 仰角:70度 俯角:-5.6度 |
| 価 格 | 1門あたり約3億円 |
まず、「M119」とはアメリカでの呼び名であって、実際はイギリスの「L119」をライセンス生産したものです。
その前身である「L118」がフォークランド紛争で役立ち、特に射程と連射性能がアメリカの目に留まり、その改良型(L119)を「M119」の名称の下、1987年に正式採用しました。
そんなM119は約3分間とはいえ、毎分8発の速さで105mm弾を放ち、その後も30分間にわたって、毎分3発の発射速度を維持できます。
有効射程は弾薬の種類で変わり、通常は約14〜17kmまで飛ぶなか、ロケット推進弾を使えば、19.5kmまで延伸可能です。むろん、弾薬はNATO標準弾を用いるため、他の同盟国との互換性を確保しました。
ヘリで運ぶM119(出典:アメリカ陸軍)
火砲自体は軽い部類に入り、UH-60ヘリでそのまま吊り下げたり、ハンヴィーで引っ張るなど、難しい地形にも機動展開してきました。
アフガニスタンの山岳地帯にヘリで運び込み、現地部隊の窮地を緊急の火力支援で救い、頼れる火砲と評価されました。
打撃力ではM777に劣るものの、105mm弾の威力は決して小さくはなく、装甲車両や陣地の破壊はもちろん、堅牢な建物でさえ倒壊の危機に追い込みます。
しかも、重量はM777の半分ほどしかなく、機動性と連射性能では上回り、けん引式にしては陣地転換しやすいです。火砲は軽ければ、その分だけ動かしやすく、現地での柔軟性を期待できます(自走砲には負けるが)。
アナログだが、使える
一方、砲の操作は全て人力になり、設置と準備に時間がかかるため、入念な訓練が欠かせません。射撃時は照準器で捕捉しながら、弾着計算と装填を行い、観測部隊や指揮所の指示に基づいて、修正していくスタイルです。
ただし、M119は何度か照準器などを改良しており、最新型の「A3」ではディスプレイで操作するほか、GPSで位置を正確に測定したり、火力指揮所や他の火砲と連携できるようになりました。
射撃するM119(出典:アメリカ陸軍)
なお、通信状況の悪化や妨害にともなって、デジタル面での長所が使えない場合、操作は従来のアナログ方式に切り替わり、そのまま戦闘を続行できます。
以上のように、M119はM777と同じ部類とはいえ、より軽くて速い利点を持ち、基本的にはアナログながらも、使い勝手がいい榴弾砲です。
ウクライナでも役立つ?
現在、アメリカでは約820門が使われており、ロシア=ウクライナ戦争の勃発を受けて、72門をウクライナに供与しました。
各種の自走砲と比べて、陣地転換では劣るとはいえ、けん引式にしては機動性が高く、旧ソ連製よりは高精度と評価されています。前述のロケット推進弾とともに、GPSと小型ドローンによる観測を使い、15km以上先の敵陣や火砲、指揮所に命中させてきました。
現代砲兵戦ではドローンが飛び交い、わりと「撃破」されやすい環境ですが、現地では偽装や移動方法を工夫しながら、なんとか生存性を高めています。
貴重な自走砲を温存したい、あるいは日常的な撃ち合いにおいて、M119の機動性はまだ役立ち、その命中率はウクライナ兵の腕前も加わり、現代戦に適応できているレベルのようです。


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