4,400機以上!アメリカにある「飛行機の墓場」とは?

多数の軍用機が並んだ基地 アメリカ
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軍用機向けのデビスモンサン空軍基地

第二次世界大戦を含む各戦争で圧倒的な物量差を見せつけてきたアメリカですが、戦争が終わって軍縮モードに入ると余剰戦力を廃棄もしくは予備保管します。

例えば、海軍向けには「予備艦隊」というものがあって、一時は戦艦や空母まで保管されていました。これに対して、空軍も退役した大量の航空機をアリゾナ州の砂漠にあるデビスモンサン空軍基地、通称「飛行機の墓場」に集積しています。

もともと爆撃機の訓練基地だったところ、乾燥地帯で湿度が低い特徴を生かして退役機を露天保管する集積場に生まれ変わりました。砂漠気候では湿気による腐食が進行しづらく、東京ドーム225個分の敷地と舗装がいらないほどの硬い地面は長期の露天保管に最適なのです。

その結果、今では4,400機もの航空機がモスボール状態で保管されていて、戦闘機から輸送機、ヘリコプターまでの幅広い機種が見られることでも有名です。こうした退役機は用済みとなったものの、部品取りや中古機としての再販売を想定して置かれています。

実際、海上自衛隊が2015年に導入した6機のC-130輸送機も、この飛行機の墓場で保管されていた米海兵隊の退役機を再生(レストア)したものです。しかし、いくら乾燥した土地とはいえ、屋外で長年放置されていた機体のレストアは簡単ではなく、海自側も作業遅延と不具合の発覚に苦しみました。

モスボール保管で眠る軍用機の数々(出典:アメリカ空軍)

それでも、現役稼働中で部品供給が難しい機体にとって、墓場から取れる部品は貴重であり、中古機でも比較的高性能な機体が多く眠っているので、あまりお金に余裕のない国には魅力的な買い物市場です。

このように大量の航空機が眠る場所として知られているデビスモンサン空軍基地ですが、電子戦部隊と救難部隊、そして対地攻撃の鬼「A-10攻撃機」を装備した実戦部隊も配備されています。

民間機が多数眠るモハベ空港

さて、ここまではデビスモンサン基地について説明してきましたが、実は飛行機の墓場と呼ばれる場所はいくつか存在します。これらはお役御免となった民間機を集めたもので、目的は先ほどの軍用機と同じ部品取りと中古販売です。

なかでも、最大の集積場はカリフォルニア州・モハベ空港で、乾燥したモハベ砂漠の中に東京ドーム285個分の敷地に民航旅客機が100機近く保管されています。

デビスモンサン空軍基地と比べれば機数では見劣りする反面、こちらは各国の航空会社から集められたさまざまな機体を見れるのが「売り」といえます。日本のJALやANAの機体も置かれているそうです。

一応、現地での見学ツアーに申し込み可能ですが、モハベ空港には定期就航路線がなく、最寄りのロサンゼルスからは車で1.5〜2時間(約150km)ほど。ただし、周りにホテルや飲食店は少なく、空港内もレストランとショップぐらいしかありません。

ちなみに、最近は宇宙旅行を手がけるヴァージン社の拠点が置かれるなど、民間宇宙産業の宇宙空港としての側面が強くなっています。

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