日本も参加!アメリカのゴールデンドーム構想とは?

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宇宙から米本土を守る

2025年5月、トランプ大統領はアメリカ本土を守るべく、「ゴールデン・ドーム構想」を発表しました。黄金好きのトランプらしく、ゴールデンの名が付く新計画ですが、これはひと言で説明すると、アメリカ全土を覆う「巨大な防衛の傘」。

弾道ミサイルから極超音速兵器まで、あらゆる脅威を宇宙空間で迎え撃ち、本土を守る防衛システムです。

「ドーム」が付く防空システムといえば、イスラエルの「アイアン・ドーム」が有名ですが、こちらは主に短距離のロケット弾を迎撃します。

基本構想は同じといえども、ゴールデン・ドームは防護範囲が広く、両者のスケールの差は圧倒的です。小国のイスラエルに比べると、アメリカは約440倍の面積を誇り、その分だけ要求性能が上がります。

したがって、対ロケット弾のアイアン・ドームと違い、弾道ミサイル・極超音速兵器・巡航ミサイルを想定しており、陸・海・宇宙をまたぐ最新技術を投入予定です。

まず、地球全体を見渡すべく、軌道上に大量の軍事衛星を置き、敵のミサイルを発射時に捕捉します。この衛星群をAI技術と組み合わせながら、複数のミサイルが同時発射されても、それぞれ追尾・迎撃できるようにします。

その後、宇宙配備型の迎撃兵器とともに、「THAAD」「SM-3」など既存システムを使い、高度な統合防空能力を目指す形です。

すなわち、宇宙からの監視で死角を減らすほか、宇宙空間で破壊する新型兵器も作り、既存の防空システムと合わせました。この新兵器は衛星搭載型のミサイル、レーザー兵器になりますが、目標を飛翔段階で撃破しやすく、早期発見・迎撃を期待できます。

仮に宇宙空間で撃ち漏らしても、まだ地上配備型のシステムが控えており、時間的猶予が増えたのみならず、多層防空網で最終迎撃率を引き上げました。

スターウォーズ計画の再来

なにやら壮大な計画とはいえ、このような構想は初めてではなく、冷戦期にも検討されました。それが「戦略防衛構想(SDI)」であって、1983年にレーガン大統領が提唱したものです。

SDIはソ連の核ミサイルを迎撃すべく、宇宙にレーザー兵器を並べる計画でしたが、基本構想はゴールデン・ドームと変わりません。当時の人気映画にちなみ、「スター・ウォーズ計画」と呼ばれたものの、技術的な問題から最終的に諦めました。

それから40年が経ち、軍事技術が著しく進化したなか、トランプはSDI計画を意識しながら、レーガンの仕事を完成させると述べました。つまり、 SDI計画はゴールデン・ドームに変わり、40年ぶりに復活したといえます。

天文学的なコストと課題

当然ですが、壮大な計画だけに莫大な資金が欠かせず、最初の3年だけで約25兆円を投入します。しかし、米議会予算局の試算によると、その開発・配備には約20〜30年はかかり、最大80兆円の費用が必要とのこと。

近年の兵器開発をふり返れば、アメリカは絶えずコスト超過に悩み、いつも見積もりが外れてきました。ここにインフレ傾向を加味すると、現段階での試算は当てにならず、予算オーバーは確実でしょう。

そもそも、ひとつの目標に対して1〜2個の衛星がいるため、費用対効果の点では悪夢になりかねません。全ての目標を衛星で破壊せずとも、少なくとも10倍の数はそろえねばならず、軍拡競争では不利になるだけです。

コスト面で課題が山積するなか、まだ技術的な問題があります。

いくら目処が立ったとはいえ、高度な迎撃兵器・センサーを宇宙まで運び、複数のシステム間で運用する壁は高く、そう簡単には実用化できません。

さらに、安全保障の観点で論じると、アメリカが新たな「盾」を持てば、中国・ロシアは「核ミサイルが無効化された」と受け取り、かえって核軍拡を加速させる可能性があります。

防衛力の整備が軍拡競争を招く、との逆説的なリスクはSDI計画時も浮かび、逆に核抑止の破綻が指摘されました。

日本も計画に参加

いまだ未検証の段階ながらも、ゴールデン・ドーム計画が実現すれば、宇宙配備型の迎撃システムを持ち、その「夢の盾」はミサイル防衛を飛躍させます。

本来はアメリカ本土を守るものの、技術的な知見は日本の防衛に役立ち、実際に日本は計画に参加しました。

日本は北朝鮮の核開発を受けて、ミサイル防衛を進めてきましたが、これは「イタチごっこ」から抜けられず、絶え間ない能力向上が必要です。しかも、極超音速滑空兵器(HGV)など、中国・ロシアでは新兵器の開発が進み、現状では対処できません。

そこで、日本もゴールデン・ドームに加わり、自国のミサイル防衛とリンクさせながら、次世代の迎撃能力を確保するわけです。

ただし、その狙いはアメリカ本土の防衛ではなく、迎撃ミサイルを共同開発したり、衛星ネットワークの運用で連携を図り、あくまで自国の対処能力を高めるもの。

すでに日本は小型衛星群を送り込み、「衛星コンステレーション」を構築するほか、対HGVの迎撃ミサイルを日米で共同開発します。

衛星コンステレーションの運用、新型迎撃ミサイルの開発にあたり、アメリカとの協力は必要不可欠のため、ゴールデン・ドームへの参加を通して、連携を加速させたい意向です。

他方、アメリカは日本の技術・資金はもちろん、中露朝に近い日本の立地を活かしながら、ゴールデン・ドーム体制を補完できます。直接的に守るかどうかはともかく、日本は世界有数のミサイル防衛能力を持ち、それをアメリカの構想に組み込めば、結果的にアメリカの安全に寄与します。

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