ヨーロッパ勢の汎用ヘリ
ヨーロッパでは地域統合が進むにつれて、NATO同盟の結束も強まり、兵器の共同開発も加速しました。その結果、英仏独伊などを中心としながら、欧州標準の装備品ができあがり、「NH90ヘリコプター」もそのひとつです。
- 基本性能:NH90ヘリコプター
| 全 長 | 19.56m |
| 全 幅 | 16.3m |
| 全 高 | 5.44m |
| 乗 員 | 操縦2名+オペレーター1名 |
| 速 度 | 時速300km |
| 高 度 | 6,000m |
| 航続距離 | 陸軍型:約800km 海軍型:約1,000km |
| 輸送能力 | 兵士20名/担架12床 |
| 兵 装 | ・陸軍型 機関銃×2、20mm機関砲 ロケット弾・海軍型 対潜魚雷/爆弾・対艦ミサイル |
| 兵 装 | ・陸軍型 機関銃×2、20mm機関砲、 ロケット弾・海軍型 対潜魚雷、対潜爆弾、 対艦ミサイル |
| 価 格 | 1機あたり約30億円 |
NH90は仏独伊蘭の4カ国が作り、NATOの汎用ヘリとして計画されたあと、2005年から配備が始まりました。
汎用ヘリである以上、堅実な信頼性・整備性を目指しており、陸軍向けの戦術輸送型、海軍用の哨戒型が存在します。陸軍のヘリは最大20人を運び、海軍型は対潜哨戒を担うべく、代わりに兵装搭載能力を強化しました。
今回は後者の海軍型(艦載機)を中心に見ます。
まず、ヘリ自体は腐食に強い複合素材を使い、塩害対策やNBC防護力とともに、衝撃に強い設計を意識しました。コクピット周辺はデジタル化を図り、パイロットはディスプレイを見ながら、最新の戦術・気象状況を確認します。
また、操縦系統は「4重」の冗長性を持ち、電気信号を使う「フライバイワイヤ」を採用しました。ここに自動操縦装置も加わり、手を放しても操縦できるなど、パイロットをヘリの操縦ではなく、任務に集中させる仕組みです。
このあたりは各国共通とはいえ、さらなる細部は運用国のニーズで異なり、その名称もフランス版は「カイマン」、ドイツ版は「シーライオン」のように違います。
そして、ドイツでは「シーライオン」に続き、新たに「シータイガー」を調達しました。これは新型の艦載機にあたり、新しい光学照準装置と電子戦機能を追加したほか、対潜・対水上能力を強化したものです。
なお、NH90のシリーズ全体でいえば、13カ国で540機以上が運用中ですが、海軍向けのタイプに限ると、6カ国で135機が導入されています。
いろんな不具合に悩む
NH90は汎用ヘリとしては役立ち、艦載型は対潜哨戒はもちろん、対艦攻撃・偵察・輸送にも使えます。
ところが、これまで技術的なトラブルが多く、ローター(尾部)の異常振動、機体の剥離問題、設計に反する腐食問題など、いろんな欠陥が指摘されてきました。
これは海軍の艦載機に限らず、ドイツ陸軍でもエンジン爆発事故が起き、緊急着陸には成功したものの、その機体は失われました(2014年)。
相次ぐ不具合だけではなく、必要な予備部品の入手も難しくなり、維持費の高騰につながりました。結局、高い整備性を謳ったにもかかわらず、全体の稼働率低下を招き、コスト面でも競争で不利になりました。
トラブル続出に悩む(出典:ドイツ軍)
このような状況を受けて、オーストラリアでは運用を早めに打ち切り、アメリカのブラックホーク・シリーズに乗り換えます。さらに、ノルウェーも契約解除を行い、調達済みの機体まで返却しました。
一連の流れでNH90の評判は落ち、対照的にアメリカのSH-60シリーズは株を上げました。それでも、欧州勢の汎用ヘリである点は変わらず、今後も改良を重ねながら、しばらくは使い続けます。


コメント