反省をふまえた後継艦
イージス艦が米海軍の主力を担うなか、初代イージスの「タイコンデロガ級」は2027年に退役します。
当初は「CG(X)」という構想の下、新しいミサイル巡洋艦を目指したところ、高すぎるコストが議会の承認を得られず、最終的に計画は葬られました。
なお、現行の「アーレイ・バーク級」は性能的には問題なく、引き続き主力艦として使うものの、これ以上の発展・改良は設計的に難しく、次世代のイージス艦が望まれています。
そこで、「タイコンデロガ級」「アーレイ・バーク」を更新するべく、次世代イージス計画の「DDG(X)」が浮上しました。
- 基本性能:DDG (X)
| 排水量 | 13,500t(満載時) |
| 兵 装 | 5インチ速射砲×1 垂直発射装置×96 SeaRAM発射機×2 3連装短魚雷発射管×2 レーザー兵器(予定) |
| 建造費 | 1隻あたり約5,000億円 |
「アーレイ・バーク級」に比べると、「DDG(X)」は大型化したとはいえ、冒険しすぎた「ズムウォルト級」の反省をふまえて、堅実な兵装をそろえました。
なるべく開発リスクを避けた形ですが、「DDG(X)」は2060年頃まで使う以上、装備の多くは変更・追加できる仕組みです。
たとえば、SeaRAMをレーザー兵器(出力600kW)に変えたり、艦橋前に150kW級のレーザー兵器を設置できるなど、柔軟にアップグレードできます。
そして、各国が開発中の極超音速兵器に対処するべく、前方のVLSは新しいタイプに換装できるほか、1つのセルにトマホーク巡航ミサイル、SM-6対空ミサイルを4発も搭載可能です。
そのため、この新型VLSに換装した場合、セル数は32から12まで減るものの、全体のミサイル搭載数は変わりません。
DDG(X)の兵装(出典:アメリカ海軍)
拡張性の高さはシステム面でも変わらず、イージス・システムのアップデートはもちろん、レーダーも時代に合わせて更新できます。
また、レーザー兵器を想定する以上、消費電力の増大は避けられず、新たに統合電気推進を導入しました。
これは「ズムウォルト級」で試した機関ですが、現行の「アーレイ・バーク級」に比べると、電力効率は20〜25%、航続距離は50%伸びる試算です。
コストを抑えられるか
以上のとおり、「ズムウォルト級」の教訓を活かしながら、現行イージスの後継を目指すものの、コストを抑えられるかが問題です。
米海軍が約3,800億円/隻と見積もるなか、米議会の試算では5,000億円台までふくらみ、すでに予算オーバーと指摘されました。
量産による単価の圧縮に加えて、長期運用で元を取るとはいえ、新しい兵器が計画通りにいかず、「ズムウォルト級」の二の舞になる可能性は高いです。
しかも、トランプ政権の発足にともなって、新たに「トランプ級」戦艦なる大型艦を造り、そちらに多くの予算が割り当てられました。
その結果、「DDG(X)」は事実上の白紙化になり、「トランプ級」「アーレイ・バーク級」で置き換えるといえます。


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