台湾有事が起きたら、日本人はどう反応するだろうか?

日本と台湾の国旗 外交・安全保障
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日本も当事者である

台湾有事の可能性が高まるなか、日本ではアメリカの介入をふまえて、どうすべきかの議論が加熱しています。

そもそも、以前の記事で解説したとおり、台湾有事は他人事ではなく、日本も当事者のひとりです。

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歴史をひも解くと、日清戦争での台湾割譲から始まり、1945年の敗戦とその後の混乱を受けて、台湾を巡る立場は複雑化しました。元日本領であった事実をふまえると、日本にも歴史的責任の一端はあります。

加えて、台湾島は日本のシーレーン上にあるほか、沖縄県に隣接する事実上の隣国です。与那国島とは110kmしか離れておらず、中国が台湾侵攻や海上封鎖をすれば、嫌でも巻き込まれます。決して対岸の火事ではなく、火の粉が降りかかるどころか、余裕で延焼してくるレベルです。

しかも、中国もアメリカが介入する想定の下、先鋒を務める在日米軍を初戦でたたき、侵攻作戦を優位に進めるつもりです。

すなわち、日米同盟で在日米軍基地を置いている限り、台湾有事は日本を自動的に巻き込み、そのまま日本の有事に発展します。

「一国平和主義」の変化

ここで日本人の意識、世論の動向に着眼点を置き、台湾有事の影響を考察します。

戦後日本は平和主義の名の下、戦争・紛争からは遠い日常を送り、長らく安寧を楽しんできました。しかし、それは独自の防衛力(自衛隊)とともに、アメリカとの軍事同盟で実現しました。

憲法9条は日本の行動を抑制すれども、外国の軍事侵攻を阻ぐ効力などなく、あくまでセルフ縛りにすぎません。敵性国家からすると、日本に憲法9条があろうが、なかろうが関係ありません。

されど、戦後教育とメディアの論調、左派勢力の影響力も加わり、日本では一国平和主義がまかり通り、どこか戦争を他人事と考えてきました。

かつてはソ連が脅威だったはいえ、冷戦の主戦場はヨーロッパ正面であって、極東はサブ的な扱いでした。日本が表舞台に出ずとも、極東では米軍がソ連を抑え込み、それで済んでいたわけです。

だからこそ、平和主義が浸透する余地がありました。

ところが、北朝鮮の核開発とミサイル問題、中国の爆発的な軍備強化、アメリカの相対的な衰微を受けて、日本人の意識が徐々に変化します。

戦後平和主義の信奉が揺らぐなか、そこにロシアがウクライナに攻め込み、ある意味でトドメを刺しました。あまりに露骨な侵略戦争、戦争犯罪を目の当たりにして、一国平和主義の幻想は吹き飛び、日本人の意識は一変しました。

世界中を見渡しても、他のアジア諸国と比べても、日本はウクライナ支持の割合が高く、対ロシア制裁に賛成が多い国です。

日本人は非現実的な部分はともかく、平和主義の理念自体は評価しており、その道理に真っ向から反した以上、ロシアの侵略行為は容認できません。

20〜30年前はいざ知らず、現在の日本人は厳しい現実と向き合い、以前よりは「シビア」になりました。左派の平和主義論は説得力を失い、変節を余儀なくされたり、いまや鳴りを潜めるほどです。

台湾に対する特別な感情

では、中国の台湾侵攻が起きると、日本人はどう反応するでしょうか。

ウクライナ侵攻以降の傾向をふまえると、一部の左派勢力と親中派を除けば、大部分が台湾支持になるのは疑いなく、ますます対中強硬の世論になるでしょう。

台湾は日本の隣人であるほか、周辺国では珍しく親日で知られており、正式な国交がないにもかかわらず、中国・韓国よりは親近感があります。

その親日ぶりは中国とは対照的に映り、安全保障上の位置付けも全然違います。台湾は同じ民主主義・自由主義陣営にあたり、日本には軍事的脅威を与えていません。

そんな台湾が中国に攻撃されたら、日本人は中国に対する嫌悪感とともに、震災などで受けた恩を返すべく、圧倒的な台湾支持に傾くでしょう。

ここでひとつ断っておくと、日本人は別に生来から「反中国」ではありません。ひと昔前をふり返ると、日中友好の機運は高かったほか、文化的にも関係が深い国です。

ただ、近年の中国は強権的な部分が目立ち、軍事的な威圧を繰り返すなど、あまりに台湾とは対照的です。台湾侵攻時は在日米軍基地の使用を巡り、日本に対して核を含む恫喝を行う可能性が高く、日本人の反中感情は一気に沸騰するでしょう。ここに台湾の親日ぶりが加わると、台湾支持になるのは自然といえます。

ちなみに、韓国も重要な隣国なのは変わらず、同じ民主主義・自由主義陣営、アメリカの同盟国であるため、日韓は間接的には同盟関係です。

しかし、日韓では歴史問題が尾を引き、蒸し返しと反日政策の結果、台湾ほどの親近感はありません(一般論として)。

同じ日本の世論に聞いても、北朝鮮による韓国への攻撃、中国の台湾侵攻を比較すると、後者の方がより強い同情を集めるでしょう。

それだけ日本人は台湾に親近感を持ち、心の中で特別な位置を占めています

ウクライナとの違い

次にウクライナ侵攻との比較について。

当たり前なれど、ウクライナより台湾の方が距離的に近く、その分だけ日本人には身近な存在です。ウクライナを訪れたことなくても、台湾に行ったことある人は多いでしょう。

戦争以前のウクライナいえば、日本ではあまり馴染みがなく、「東欧にある国」ぐらいの印象でした。ウクライナ侵攻は衝撃を与えるも、どうしても「異国の出来事」な感じが拭えず、日本人の危機意識を高めたものの、「自分ごと」とまでは考えていません。

一方、台湾は地理的な近さのみならず、同じ東アジア系の人々が住んでおり、街中の風景も日本に似ています。

台北中心部を見ると、全て漢字である点を除けば、日本の都市とさほど変わらず、どこか親近感を覚えます。異国情緒の雰囲気はあれども、三越・スシロー・サイゼリア・ユニクロ・吉野家など、おなじみのチェーン店が並び、我々と似た顔の人々が行き交う。

そんな日本と似た場所にミサイルが降り注ぎ、似た顔の人たちが逃げ惑う光景を見たら、日本への攻撃イメージと結びつき、簡単に脳内で変換されるでしょう。

自分の生活風景に似ているなか、そこに中国が多数のミサイルを撃ち込み、どこか見覚えのある街並みが炎上するわけですから。ウクライナの異国感ある風景とは違い、近所にある同じファミマ、吉野家が戦火に包まれる感じです。

日本人が感じるであろう衝撃、怒りはこれまでの比ではなく、平和主義の残滓を捨てるでしょう。

命の重みに軽重はないとはいえ、人間は自分に似た人に親近感を抱き、それは台湾とウクライナでも同じです。

こういう比較はよくないとはいえ、やはりウクライナは「異国感」が否めず、旧ソ連様式の建物が破壊されたり、東欧系の人々が逃げ惑う姿を見ても、どうしても当事者意識までは醸成できません。

それでもなお、日本人の大半はウクライナ支持に傾き、世界有数の対露強硬世論になりました。「異国」のウクライナでこうなるならば、我々と似た顔の人々が住み、生活風景が似ている台湾になると、世論の沸騰は凄まじいでしょう。

日本人の極端な変貌ぶりを考えると、黒船来航ぐらいの衝撃、1945年以来の転換点になるはずです。

これが台湾侵攻にとどまらず、その過程で沖縄が攻撃を受けたり、離島が一時占領でもされたら、世論は一斉に平和主義の対極に傾き、これまでの戦後社会からは想像できないほど、対中強硬で団結するかもしれません。

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