いつまで現役?なぜ自衛隊のYS-11は退役しないのか

自衛隊のYS-11 航空自衛隊
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戦後初の国産旅客機

「YS-11」といえば、戦後初の国産旅客機であり、日本の航空史に輝く機体です。

日本は第二次世界大戦に敗れた後、航空機の開発を禁じられてしまい、時代の潮流から取り残されました。1952年に独立を回復すると、開発が解禁されたとはいえ、7年間で航空技術の発展は進み、特にエンジン開発でブランクができました。

それでも、国策として国産旅客機に取り組み、零戦の設計技師などを呼びながら、1962年に試作機が初飛行しました。その後、1965年から主に地方航路で飛び、2006年まで民間運用されました。

いまや姿を消して久しいなか、なんと航空自衛隊では現役です。

では、なぜ自衛隊では使い続けているのか?

政府方針と改造のしやすさ

まず、自衛隊が導入した理由として、YS-11が国策で開発されたこと、最初から軍用機に近かった点、改造しやすいことがあげられます。

政府の方針で開発した以上、同じ国家機関としてYS-11を使い、少しでも売上に貢献したり、実績に寄与するのは当然です。同様の理由で海上保安庁、国土交通省の交通局も採用しており、それぞれ5機と6機を購入しました。

また、設計技師が戦前の軍用機に携わり、その経験が強く反映された結果、YS-11は優れた信頼性と耐久性を持ち、軍用機に近い性格になりました。

その代わり、操縦面のクセが強かったり、乗り心地が良いとはいえず、改修で少しは改善すれども、最後まで操縦性で難が残り、個人の技量に頼ってきました。

それでも、空白期間があったにもかかわらず、戦後初の試みにしては悪くはなく、低速域で高い安定性と燃費を誇るほか、1,200メートル級の滑走路で使えました。この短距離離着陸能力を使えば、地方の飛行場に降り立ち、自衛隊の各基地でも運用できました。

そして、旅客機をベースにしたからこそ、設計上は機内の拡張性が高く、「魔改造」しやすい機体でした。

その結果、空自は1965年から13機のYS-11を買い、人員・物資の輸送だけではなく、飛行点検や航法訓練に使ってきました。海上自衛隊も10機を調達したあと、基地間の連絡と輸送任務に加えて、一部は哨戒機の訓練機材に改造しました。

海保などの分を合わせると、生産された計182機のYS-11のうち、約18%の34機が官庁向けです。

空輸や飛行点検に使用

自衛隊のYS-11は何種類かありますが、空自の輸送型(YS-11P)は旅客機と大差なく、一部はVIP用の座席が設けるなど、高級将校と将官に備えたぐらいです。

飛行点検型は「YS-11FC」と呼び、航法施設が正常に機能しているか、実際に飛んで確認することから、専用の特殊機材を詰め込みました。

自衛隊のYS-11飛行点検型のYS-11FC(出典:航空自衛隊)

他方、海自では「YS-11M」で貨物を運び、本土と硫黄島・南鳥島を往復したほか、P-3C哨戒機の搭乗員育成を考えて、教育用の「YS-11T」を運用しました。

ただし、空自の輸送型は2017年に、飛行点検型は2021年に現役を退き、海自でも輸送用のM型は2014年に、教育用のT型は2023年に退役しました。

情報収集機として現役

輸送型(YS-11P)の退役にともなって、海自から姿を消したとはいえ、空自では電子支援用の「YS-11EB」が残り、現在もひっそりと活躍しています。

  • 基本性能:YS-11EB
全 長 約26.3m
全 幅 約32m
全 高 約9m
乗 員 3〜5名
速 度 時速490km
高 度 9,000m
航続距離 2,300km以上
価 格 不明

これは電子情報収集機にあたり、周辺国の電波情報を傍受しながら、解析を試みる「空飛ぶ盗聴機」ですが、敵の通信・レーダー能力を調べる場合、最も確実な手段のひとつです。

相手の信号や電波状況が分かれば、装備品の性能を推測できるほか、その動向を把握しやすくなります。

YS-11EBは信号・電波を集めるべく、背中にコブのようなアンテナを持ち、電子偵察機として活躍してきました。同時に空自の中でも秘匿性が高く、なかなか見ることができません。目玉イベントの航空祭にも出てこず、謎が多い超レアな機体です。

自衛隊のYS-11EBYS-11EB(出典:航空自衛隊)

なお、電波情報の収集ではなく、妨害電波を出す種類もありました。

こちらは「YS-11EA」と言い、あえて妨害装置を搭載しながら、電子戦の攻撃機になりきり、訓練で相手役を務める機体です。2024年の退役まで電子戦訓練で役立ち、味方の技能と練度を向上させました。

ちなみに、EA/EB型は出力と航続距離を伸ばすべく、退役した哨戒機(P-2J)のエンジンを使い、「スーパーYS」とも呼ばれています。

さて、最後に残ったEB型は任務の特性上、いまだ謎が多い存在ではあるものの、最近は後継のRC-2が登場したからか、一般公開に姿を現すようになり、以前より秘匿性が薄まってきました。

RC-2はC-2輸送機の改造であって、YS-11EBをあらゆる点で上回り、計4機が入間基地に配備予定です。しかし、まだ実際の配備数が少なく、全てのRC-2がそろう2030年頃まで、YS-11EBの運用は続くでしょう。

RC-2の配備までもうひと頑張りですが、いくら頑丈なYS-11といえども、初飛行から60年以上が経ち、機体の老朽化が限界に近づいています。部品調達と整備・補修も難しく、早く現役から解放させたあげく、記念保存することを願います。

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