自衛隊初の特殊部隊、海自・特別警備隊の任務と強さ

海上自衛隊
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不審船を制圧する殴り込み部隊

日本の特殊部隊といえば、陸上自衛隊の特殊作戦群が真っ先に思い浮かびますが、実は自衛隊初の特殊部隊として先に誕生したのは海上自衛隊の「特別警備隊」になります。

あまりピンと来ないかもしれませんが、英語名の「Special Boarding Unit(SBU)」を直訳すると「特別臨検隊」になるように、特別警備隊は工作船などへの強襲乗船と立入検査を任務とし、1999年に起きた能登半島沖不審船事件を受けて2001年に創設されました。

同事件では北朝鮮の工作船を追跡していた護衛艦が立入検査を計画したものの、船内には突入に必要なまともな武器や防弾チョッキなどがなく、海上臨検を担う部隊の必要性を痛感させました。

そこで、不審船対策を見据えて特別警備隊を発足させ、米海軍や英海兵隊の特殊部隊からノウハウを学びましたが、自衛隊初の特殊部隊ということもあって、2007年に一度だけ訓練が公開された以外は謎のベールに包まれています。

海自の故郷ともいえる広島県・江田島に拠点を置く特別警備隊は約90名の人員で構成されていて、本部の下に4個小隊が属する形。

訓練はヘリや高速ゴムボートを使って対象船舶を強襲、武装解除させる想定で実施されますが、火器については自衛隊共通の「89式小銃」のほかに、各国で使われている「HK416」や近接戦闘に向いた「MP5」を導入しました。

これらの装備を使って不審船などを無力化するわけですが、実は「臨検」そのものは護衛艦の乗組員で編成する立入検査隊が担当します。この立入検査隊も能登半島沖の事件を受けて各護衛艦で新編されたもので、ようやく小銃や防弾チョッキが与えられました。

つまり、特別警備隊は対象船舶に「殴り込んで」制圧するのが任務で、その後の臨検は護衛艦の立入検査隊が受け持ちます。

しかし、状況によっては特別警備隊がそのまま臨検を行うケースも考えられるので、所属隊員は海上臨検に関するノウハウも当然ながら取得済み。

米軍とともに強襲作戦の訓練を行う特別警備隊(出典:海上自衛隊)

ちなみに、海上保安庁にも同じ名前の部隊が存在しますが、こちらは港湾警備を担当する船舶部隊なので海自のような特殊部隊ではありません。

ただし、海保にも「特殊警備隊(Special Security Team)」と呼ばれる不審船対応にもあたる特殊部隊があり、海自の特別警備隊とも共同訓練を通じて連携しますが、海保は主に暴力団などの刑事犯を担当し、海自は工作員やテロリスト、ゲリラを担当するなど棲み分けを図っています。

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