実は逆輸入された空自のT-400練習機

自衛隊のジェット練習機 自衛隊
この記事は約3分で読めます。

輸送機と救難機を目指すジェット練習機

航空自衛隊のパイロットを育成するうえで絶対必要なのが練習機ですが、最初はみんなプロペラ機である「T-7練習機」で初歩的な操縦技術を身に付けます。

その後、戦闘機を目指す者とそれ以外に分かれてジェット機での練習に移り、前者はあのブルーインパルスも乗る「T-4練習機」を使います。

一方、輸送機や救難機などのパイロットを目指す後者はビジネスジェット機を改造したT-400練習機に乗り込んで「基本操縦課程」に挑むのです。

⚪︎基本性能:T-400練習機

全 長 14.75m
全 幅 13.26m
全 高 4.24m
乗 員 操縦2名+同乗4名
速 度 マッハ0.78(時速963km)
航続距離 約3,000km
高 度 12,500 m
価 格 1機あたり約15億円

1994年に導入されたT-400練習機はC-130などの輸送機、またはU-125A救難機のパイロットを志す者が基本操縦技術を習得するための機体で、現在は13機全てが静岡県・浜松基地の教育隊に集中配備されています(以前は島根県・美保基地)。

T-400は他の練習機と違って、学生の隣に教官が座る並列スタイルとなっていて、実際に乗ることになる輸送機や救難機のコックピットに操縦環境を似せました。

したがって、学生はT-4練習機のように後ろからではなく、真横から教官にシバかれることになります。基本的に学生と教官の2名が乗り込むものの、ほかにも4名が乗れるので他の学生が見習いなどで同乗するケースもあるそうです。

学生は約47週にもわたってT-400を操りながら教育訓練と試験を乗り越えた後、ようやくパイロットの証である「ウィングマーク」を手に入れます。

ちなみに、輸送機を希望する学生の一部は米国委託教育という留学プログラムを通じてウィングマークを獲得しますが、こちらでは後述の「T-1A練習機」などに乗り込みます。

もとは三菱重工が開発した機体

ビジネスジェットをベースにしたおかげで良好な操縦性と十分な航続距離を持ち、練習機には適した機体といえますが、実はこのT-400は「逆輸入」されたものです。

もともとは三菱重工業のビジネス機「MU-300」が販売不振によってアメリカのビーチクラフト社(現・レイセオン社)に権利を売却したのが発端で、その後アメリカ空軍が同機をベースにしたT-1A練習機を採用したのを受けて空自が目をつけました。

そのため、名称変更や改造はされているものの、実際は三菱重工が開発した機体であることから定期修理は同社に任せられています。

このように紆余曲折を経ながら空自に逆輸入されたT-400練習機は、今後も当面の間はパイロット育成に使われ続けますが、U-125A救難機の廃止にともなって、将来的に乗り込むのは輸送機希望者だけになる見込みです。

⚪︎関連記事:ブルーインパルスも乗るT-4練習機のスゴさ

コメント

タイトルとURLをコピーしました