Saab340の後継として
スウェーデンは長らく武装中立を保ち、高性能兵器の開発力を高めてきました。対戦車火器から自走砲、戦闘機すら自前でそろい、現代空戦に必須な早期警戒機も作りました。
早期警戒機は広大な探知能力を誇り、空での優位性を確保できる分、それなりに値段が高く、そう簡単には手が出せません。管制機能があるAWACSともなれば、1機あたり4〜500億円はかかってしまい、中・小国の財布には厳しい買い物です。
ところが、スウェーデンはビジネスジェットを使い、価格と能力のバランスを取りながら、比較的入手しやすい機体を開発しました。
それがサーブ社の「Saab340」シリーズですが、その後継にあたるのが「グローバル・アイ」です。
- 基本性能:Saabグローバル・アイ
| 全 長 | 30.3m |
| 全 幅 | 29m |
| 全 高 | 7.8m |
| 乗 員 | 7名 |
| 速 度 | 時速900km |
| 行動時間 | 最大11時間 |
| 高 度 | 12,000m |
| 探知能力 | 400〜600km |
| 価 格 | 300〜400億円 |
グローバル・アイは背中に高性能レーダーを持ち、一定の管制機能を備えているものの、原型はボンバルディア社の旅客機です。
「グローバル6000/6500」という機体に基づき、スウェーデン産のエリアイ・レーダーを載せたところ、最大600kmの探知距離を実現しました。探知範囲は高度で変わるとはいえ、従来型に比べて約1.5倍は伸び、妨害電波に対する耐性とともに、低空目標への対処力が向上しました。
エリアイ・レーダーに加えて、対水上レーダーと電子光学センサー、赤外線暗視装置を組み込み、地上/洋上の動く目標も探知可能です。これらで目標を捕捉したあと、リアルタイムで情報共有できるため、味方の戦闘機を有利な状況に導き、最大11時間にわたって飛行できます。
スウェーデンでは2020年に配備が始まり、2027年には3機体制になりますが、余剰のSaab340は軍事支援の一環として、ロシアと戦うウクライナに供与しました。
価格が急激に高騰
スウェーデン以外に目をやると、アラブ首長国連邦(UAE)が5機を買い、フランスは計2機を導入したうえで、もう2機の追加購入を考えています。
同じ北欧仲間のデンマーク、フィンランドも検討するなか、スウェーデンのNATO加盟にともなって、NATO諸国では有力な候補になりました。
特にトランプ政権の再登場により、米欧の信頼関係が大きく揺らぎ、NATO諸国は脱アメリカを進めています。スウェーデン兵器の信頼性もあってか、アメリカ製の代替候補に浮かび、ヨーロッパ各国のみならず、カナダも興味を示しました。
ただ、世界的なインフレ傾向を受けて、最近は調達価格が高騰しており、400億円台に突入しました。アメリカの早期警戒管制機に比べると、まだ安い部類に入るとはいえ、もはや求めやすい価格ではなく、本来の立場を失いかけています。
一方、中型機ならではの利点を考えると、運用コストは大型機より安く済み、運用可能な拠点数でも有利です。中型のグローバル・アイならば、短い滑走路にも降り立ち、リスク分散を図りながら、作戦上の選択肢を広げられます。
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