空対地ミサイル
いまや日本とイギリスは「準同盟関係」になり、イタリアを交えてステルス戦闘機を共同開発中です。こうした動きのなか、イギリスの「MBDA社」が日本に対して、新型ミサイル「スピアEW」の購入を提案しました。
次期戦闘機を見越しての打診ですが、スピアとはどのようなミサイルなのか?

- 基本性能:スピア・ミサイル
| 重 量 | 90kg |
| 全 長 | 1.8m |
| 直 径 | 0.18cm |
| 速 度 | 時速900km以上 |
| 射 程 | 約140km |
| 価 格 | 1発あたり約4,000万円 |
まず、スピアはイギリスの空対地ミサイルであって、英空軍のミサイル能力を高めるべく、2000年代から開発されてきました。同じ空対地ミサイルながらも、短射程の「ブリムストーン」の技術を使っており、事実上の発展改良型といえます。
なお、「スピア(SPEAR)」は槍の意味ですが、実際は「Select Precision Effects At Range」の略称であり、日本語では遠距離の柔軟・精密攻撃能力と訳します。
2つあるタイプのうち、オリジナルは約140kmの射程を持ち、空対地型の巡航ミサイルとして運用中です。小型な弾頭にもかかわらず、移動中の装甲車両・火砲・ミサイル発射装置など、地上目標を破壊できるほか、船舶のような海上目標も狙えます。
発射後は亜音速で飛びながら、GPS誘導とセンサーで目標に向かい、途中で赤外線誘導、レーザー誘導に切り替わります。ミサイル自体は機動性が高く、小型である利点を活かせば、F-35戦闘機に最大8本を搭載可能です。
戦闘機に装備したスピア(出典:BAEシステムズ)
他方、「スピアEW」は電子戦タイプにあたり、敵のレーダーに偽の目標を映しながら、相手を撹乱・妨害するのが目的です。似た兵器にアメリカの「ADM-160 MALD」がありますが、これのイギリス版といったところでしょう。
すなわち、本家・スピアは純粋な空対地ミサイル、スピアEWは電子戦での「おとり」を担います。
どちらもユーロ・タイフーン、F-35戦闘機で運用できるほか、将来的には「GCAP戦闘機」にも搭載予定です。
日本も導入すべきか
そんなスピア・シリーズのうち、日本は電子戦型を打診されました。
敵基地攻撃能力の確保を目指す以上、このような妨害・撹乱兵器は役立ち、あって困るものではありません。
すでにトマホーク巡航ミサイルを買い、JASSMミサイル(空対地)も導入するなか、これら「本命兵器」の突破口を開き、命中率を高める意味でも、電子戦型のミサイルは必要です。
スピアEWで欺瞞目標を多く作り出せば、相手の迎撃ミサイルを「おとり」に向けやすく、その分だけ防空網を突破しやすくなります。
「数撃ちゃ当たる」という言葉のとおり、敵の防空能力を「数」で圧迫せねばならず、電子戦兵器はそれを補完する仕組みです。
むろん、スピアEWである必要はないものの、次期戦闘機との互換性を見込めて、性能試験で成果を確認できれば、本格的に検討するかもしれません。そして、それは準同盟の関係深化につながり、政治的メリットもあるでしょう。


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