迎撃できない?アバンガルド極超音速滑空体の速度と威力

ロシア
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ロシアが誇る最新兵器

将来的な軍事優位性を獲得するべく、各国が極超音速兵器を開発するなか、ロシアはひと足先に「アバンガルド」を作り、2019年末に実戦配備しました。

あくまでロシア側の発表といえども、事実なら相当な脅威になるほか、既存の軍事バランスを揺るがす存在です。

では、ロシアが誇る「アバンガルド」とは、一体どのような兵器なのでしょうか?

  • 基本性能:アバンガルド
重 量 約2トン
全 長 5.4m
速 度 マッハ20〜27
射 程 最大10,000km
価 格 約150億円

まず、アバンガルドはロシア語で「前衛」の意味を持ち、芸術における「前衛的」と同じ意味です。既存の概念を打ち砕き、先駆的な兵器である、との意味が込められました。

分類上はHGV(極超音速滑空体)にあたり、ロケットで宇宙空間まで上がったあと、先端の滑空体を切り離す仕組みです。

このとき、使用するロケットは既存兵器と変わらず、開発期間の短縮につながりました。ざっくり説明すると、既存の弾道ミサイルを使い、弾頭を滑空体に変えたわけです。

ただし、弾道ミサイルの弾頭とは違って、分離した滑空体は自在に飛行しながら、変則的な経路で目標に向かいます。

しかも、マッハ20以上の速度で飛び回り、試験ではマッハ27まで到達しました。「マッハ27」と聞けば、もはや想像さえつきませんが、これは時速換算だと約33,000km/h、東京からニューヨークまで20分の速さです。

つまり、弾道ミサイルと同等以上の速さながら、全く違う飛行特性を持ち、不規則な軌道で相手を翻弄します。

そんな超音速の物体が当たれば、目標とその周辺は全て消し飛び、TNT火薬で換算すると、0.8〜2メガトンの威力だそうです。これは広島型原爆の約50〜130倍にあたり、もはや核兵器に匹敵する破壊力です。

恐るべき破壊力はもちろん、核兵器のように放射能汚染がなく、使用上の心理的ハードルが下がるため、むしろ核より危険な代物ともいえます。

「隙間」を突いてくる

さて、プーチン大統領は2018年の演説にて、アバンガルドを初めて公表しながら、6つの新型戦略兵器の1つにあげました。

プーチンいわく、隕石や火の玉のように降り注ぎ、どんな防衛システムも無力であるとのこと。実際のところ、大気圏再突入時の摩擦熱により、滑空体の温度は2,000度以上に達するため、まさに燃える隕石のようになります。

メガトン級の威力を加味しても、隕石に匹敵する破壊力を持ち、核兵器並みの脅威です。

アバンガルドの発射機

では、本当に迎撃不可能なのか?

通常の弾道ミサイルは放物線を描き、物理法則上は早期探知さえできれば、その落下地点と到達時間を予測できます。予測可能性という前提条件がある限り、弾道ミサイルの迎撃自体は可能であって、THAADやPAC-3で成功してきました。

一方、アバンガルドは大気圏の境界を滑空しながら、超音速飛行中に軌道を自在に変えるため、具体的な落下地点や時間を予想できません。予測できなければ、迎撃ミサイルは発射できず、気づいたら手遅れなわけです。

さらに、従来の防空システムは宇宙空間、または大気圏内で迎撃する想定ですが、アバンガルドは両者の隙間を縫うように飛び、高度40〜100kmあたりで滑空します。

これは従来型システムの「死角」にあたり、このエリアを変則的に飛行されると、なかなかレーダーで探知できません。加えて、マッハ20以上で大気圏内を飛行すれば、周囲に高温のプラズマが発生してしまい、電波を吸収・反射しやすくなります。

なんとか発見・探知できても、正確な位置を把握するのが難しく、弾道ミサイルと比べても、迎撃難易度が跳ね上がりました。

既存の探知能力で捉えきれない以上、迎撃できる見込みはほとんどなく、現状では迎撃不可能に等しいでしょう。

対抗手段と条約問題

だからこそ、アバンガルドの実戦配備は衝撃的であり、極超音速滑空体に限ると、史上初の歴史的な出来事でした。

当然、その影響は日本にもおよび、マッハ5以上の極超音速兵器を探知するべく、防衛省は対策を急いでいます。

たとえば、無人機に高性能センサーを積み、ロシア領に近い空域で飛ばしたり、アメリカの「ゴールデン・ドーム構想」に加わり、衛星群で早期探知するつもりです。

また、滑空段階迎撃用誘導弾(GPI)を日米共同で作り、弾頭ミサイル同様に対処できるようにします。既存のミサイル防衛と同じく、「イタチごっこ」になるとはいえ、相手が能力を進化させている以上、こちらも開発の手を止められません。

アバンガルドのイメージ図

なお、国際的な軍備管理の点においても、アバンガルドは新たな問題を提起しています。たとえば、アメリカとロシアは軍縮条約を結び、弾道ミサイルの数を規制したり、核戦力の管理に努めてきました。

しかし、弾道ミサイルと同じロケットとはいえ、アバンガルドは滑空体にすぎず、軍縮条約の核弾頭には該当しません。アメリカはこれを事実上の「条約違反」と言い、米露間で大きな問題に発展しました。

結局、ロシアのウクライナ侵攻、西側との関係断絶を受けて、軍縮条約は2026年に失効したものの、アバンガルドが既存条約の抜け穴を突き、軍備管理のありようを問いました。

https://kaiyoukokubou.jp/2026/07/05/9k720/

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