潜水艦からも発射!日本が目指す極超音速誘導弾の性能とは

自衛隊
この記事は約3分で読めます。

マッハ5以上で攻撃

自衛隊が反撃能力の整備を進めるなか、防衛省は2027年度予算において、新たに「極超音速誘導弾」の費用を盛り込み、さらなる反撃手段を目指しました。

これはスクラムジェット・エンジンを使い、マッハ5以上の速度で飛行するとともに、予測と迎撃を困難にするべく、変則的に動き回るミサイルです。

スクラムジェットはラムジェットと同じく、空気を圧縮するジェットエンジンの一種ですが、後者は超音速の空気を取り込んだあと、音速以下に減速させながら、燃料を吹きかけて燃焼させます。

エンジン構造が比較的シンプルな分、マッハ5以上では燃焼効率が落ち、マッハ3の速度域に適した技術です。

一方、スクラムジェットでは空気は減速せず、超音速のままで燃焼させるため、マッハ5以上の極超音速を実現しました。当然、極超音速の方が威力は高いものの、複雑な構造と技術を用いるため、開発のハードルは上がります。

日本は「ASM-3改」でマッハ3の壁を破り、25式高速滑空弾で極超音速を達成しましたが、今回のミサイルはそれに続くものです。

25式高速滑空弾との違い

では、25式高速滑空弾と何が違うのか?

まず、どちらも離島防衛を念頭に置き、敵の射程圏外から上陸部隊、あるいは水上部隊を攻撃する、事実上の対地・対艦ミサイルです。

しかし、25式が高高度まで上がったあと、弾頭部分を切り離しながら、目標まで滑空飛行するのに対して、極超音速誘導弾は滑空体ではなく、あくまで巡航ミサイルの部類に入ります。

変則飛行するといえども、滑空体は搭載しておらず、弾頭も切り離しません。いわば、巡航ミサイルの延長線にあたり、その速度を極めたバージョンです。

ただ、コスト節約と開発期間の短縮を考えて、ロケットの一部は共通化しており、同じ三菱重工業が開発を担当しました。

こうした共通点を考慮すれば、極超音速誘導弾と25式の射程は近く、最大2,000〜3,000kmと思われます。南西諸島や台湾どころか、中国本土も余裕で射程に収まり、有効な反撃手段になるほか、抑止力を高めるとされています。

潜水艦発射型も開発中

予定では2031年に開発が終わり、そのまま量産体制に移行しますが、長い射程と圧倒的な速度を考えると、25式と同様に南西方面には配備せず、北海道などの後方地域に置くはずです。

発射機はトラックの荷台に積み、機動展開で生存性を高めながら、敵を射程圏外から狙います。対地攻撃にせよ、対艦攻撃にせよ、マッハ5の運動エネルギーが当たれば、どんな大型目標も木っ端微塵です。

ただでさえ極超音速で迫り、変則軌道で迎撃が難しいのに、さらに別で水中発射型の開発を行い、潜水艦での運用を目指しています。

もともと隠密性が高いにもかかわらず、潜水艦を極超音速兵器と組み合わせれば、脅威度と奇襲効果は一気に高まり、相手にとっては悪夢に等しいでしょう。

潜水艦の場所が分からないなか、いきなりマッハ5以上のミサイルを放ち、予測不能な軌道で飛来するわけですから。

すでに潜水艦から発射するべく、別の巡航ミサイルも開発中ですが、極超音速誘導弾が戦列に加われば、その威力は飛躍的な進化を遂げます。

なお、似たような兵器として、ロシアのツィルコンがあるものの、こちらはウクライナが残骸を分析したところ、スクラムジェットエンジンは使っておらず、ラムジェットエンジンたと判明しました。

つまり、ツィルコンは極超音速ではなく、超音速のミサイルにとどまり、このまま日本の開発・量産が進めば、実用化では世界初になります。

防衛政策の大転換以来、日本の兵器開発が加速しましたが、他国に遅れをとっていたところ、極超音速兵器で一気に飛び越えました。25式高速滑空弾に続き、いきなりトンデモ兵器が手に入り、世界最先端を歩みます。

射程3,000km!25式高速滑空弾の気になる性能
島嶼防衛用の反撃能力 安全保障環境の急速な悪化を受けて、日本も反撃能力(敵基地攻撃能力)を保有しました。 まずは急いで反撃手段を確保するべく、4...

コメント