パクリ?アメリカのLUCAS自爆ドローンの正体と性能

LUCAS自爆ドローン ドローン
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イランの技術を「逆用」

ロシアのウクライナ侵攻以降、戦場では自爆ドローンが飛び交い、戦争の様相を一変させました。ドローンは速度こそ遅いものの、長距離の徘徊型ともなれば、数百〜1,000km以上を飛び、海の向こうの目標さえ狙えます。

数多くある自爆徘徊型のうち、特にイランの「シャヘド」は知名度が高く、ロシアがウクライナで大量投入してきました。巡航ミサイルと組み合わながら、一度に数百機の大群で迫り、インフラなどに打撃を与えています。

そんなシャヘドはアメリカの目に留まり、鹵獲した機体を解析したあげく、独自の自爆ドローンを開発しました。それが「LUCAS(ルーカス)」であって、2025年末に登場した新型ドローンです。

  • 基本性能:LUCAS自爆ドローン
重 量 81.5kg
全 長 約3m
全 幅 約2.4m
速 度 時速100〜185km
航続距離 約650〜800km
連続飛行時間 最大6時間
高 度 約3,000m
弾 頭 爆薬18kg
価 格 約500〜550万円

LUCASは「Low-cost Uncrewed Combat Attack System」の略称にあたり、日本語では低コストの無人戦闘攻撃システムになります。アメリカの新興防衛企業が開発を担い、国防総省のドローン・コンペで披露したあと、米軍の新兵器として採用されました。

「シャヘド136」の分析結果に基づいて、いわゆるリバース・エンジニアリングを行い、敵の兵器技術を応用したわけです。

そのため、LUCASの外観はシャヘドに似ており、両者とも三角形の主翼(デルタ翼)を持ち、プロペラ・エンジンで650〜800kmを飛びます。

ただし、重量はシャヘドの半分以下しかなく、軽量化の代償として航続距離で劣るほか、爆薬搭載量もシャヘドの4割程度です。

他方、生産コストはシャヘドより少し安く、1機あたり約500〜550万円にすぎません。トマホーク巡航ミサイルと比較すると、なんと70分の1という圧倒的なやすさです。

LUCAS自爆ドローン(出典:アメリカ軍)

この安価な兵器は戦略思想の転換につながり、米軍では少数の高性能兵器だけではなく、すばやく大量生産できる低コスト兵器を使い、相手を圧倒する新たな考えが台頭しました。

これは「アフォーダブル・マス(手頃な大量)」と呼び、安い兵器で相手の高価な兵器を倒す、経済的な非対称性が影響しています。

イスラエルとハマスの戦争、ウクライナ侵攻で分かるとおり、数十万〜数百万円のドローンやロケット弾に対して、数千万円の防空ミサイルを使い続ければ、費用対効果上は全く割に合いません。

したがって、効果的な対ドローン兵器の開発に加えて、こちらも同様に安い兵器を使わねばならず、その答えのひとつがLUCASなのです。

シャヘドを超えた改良点

LUCASは単なる劣化コピーではなくアメリカ独自の技術を組み込み、いくつかの点でオリジナルを超えています。

まず、一部の機体はSpace Xの軍事用端末を積み、スターリンクの衛星システムに接続しながら、長距離の通信能力を確保しました。同じ衛星通信機能を使えば、従来より精密な目標指定が可能になり、同時に電波妨害への耐性も高まりました。

さらに、LUCASは自律飛行能力のみならず、他の無人機と「協調」する機能を持ち、群れ戦術やネットワーク型の攻撃に対応しました。

言いかえると、複数の機体が互いとの連携を図り、それぞれ役割を分担をしたうえで、複数方向から同時に飽和攻撃を仕掛けます。シャヘドも群れで同時攻撃するとはいえ、無人機同士の連携能力では劣り、この点はLUCASが本家を超えた形です。

また、シャヘドが地上発射型なのに対して、LUCASはカタパルトでの射出、ロケット補助離陸などで放ち、陸上・海上を問わず柔軟に運用できます。運用上の柔軟性でいえば、シャヘドより使い勝手が良く、さまざまな発射方式を実現しました。

対イラン戦での実戦投入

LUCASは開発から実戦投入までの期間も短く、2026年1月にベネズエラの大統領を拉致したとき、さっそく防空網の攪乱に使われました。

その後、中東方面の米軍(中央軍)に優先して送り込み、2026年2月末の対イラン戦ではまとまった数を投入しました。同作戦では巡航ミサイル、誘導爆弾を使うまでもない、いわば「攻撃しやすい」静止目標を狙い、地上施設や駐機中の航空機を破壊しています。

LUCAS自爆ドローン艦船からの射出(出典:アメリカ軍)

このように相手の戦力を効率よく削ぎ、高価な精密誘導兵器の消耗を抑えたため、中央軍司令官がLUCASを「不可欠」と評するなど、実戦で存在価値を証明しました。

本来はイランの製品にもかかわらず、アメリカがその基本技術を持ち帰り、改良発展型を作るばかりか、皮肉にもイランに逆用したわけです。

これは米軍側も認識しており、中央軍司令官の言葉を借りれば、「『メイド・イン・アメリカ』を貼り付けて撃ち返した」といえます。皮肉が効いた表現ながら、兵器開発競争の現実を表しています。

 LUCASの今後と日本への影響

実戦で一定の戦果をあげた以上、LUCASは今後アップデートしながら、無人兵器群の一翼を占めることになります。それはトマホーク巡航ミサイルなど、高コスト兵器を補い、消耗スピードを抑える存在になるはずでしょう。

しかし、対イラン戦での消耗もあってか、現時点での保有数は100機を下回り、在庫に余裕がありません。大量消耗が前提である限り、生産体制の強化が急務であって、どれだけ「数」をそろえられるかが課題です。

敵の技術の逆用しながら、わずか18か月で実戦投入されたなか、LUCASは米軍の運用思想に変革を迫り、その影響は日本の自衛隊にもおよびます。

実際のところ、日本も長距離ドローンの保有に向けて動き、防衛省では候補の検討が始まりました。当然、同盟国・アメリカの兵器も候補に上がり、その中にはLUCASも入ってくるでしょう。

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