世界最大の空母、ジェラルド R フォード級は失敗なのか?

アメリカ軍
この記事は約3分で読めます。

期待の最新鋭・原子力空母として

世界最強のアメリカ海軍は他国の追随を許さない強力な打撃力を誇りますが、その力の根源といえるのが単艦で中小国ひとつ分の航空戦力を持つ原子力空母です。

圧倒的な戦力投射能力を持つこの原子力空母を米空軍は11隻も保有しており、航空戦力ランキングでは米空軍に次いで世界2位とされるほどです。

そんな米海軍の空母のなかで久々の新鋭艦として登場したのが「ジェラルド・R・フォード級」であり、新しい設計の空母は1975年から配備が始まった「ニミッツ級」以来。

⚪︎基本性能:ジェラルド・R・フォード級航空母艦

排水量 101,600t(満載)
全 長 337m
全 幅 78m
乗 員 4,660名
(航空要員2,480名)
速 力 30ノット(時速56km)
兵 装 20mm CIWS×3
RAM21連装発射機×2
ESSM8連装発射機×2
12.7mm機関銃×2
艦載機 75機以上
価 格 1隻およそ1.5兆円

「フォード級」空母は現在の主力である「ニミッツ級」より若干大きく、満載排水量は10万トン超える文字通り世界最大の軍艦です。

かつて世界最大の戦艦と謳われた「大和」の満載排水量が7.2万トンだった点を考えると本艦の巨大さが分かります。

まず、ステルス性を意識した艦橋が目に付きますが、イージス艦でも見られる固定式の「フェーズド・アレイ・レーダー」を採用して警戒監視能力を高めました。

格納庫と飛行甲板をつなぐエレベーターは1基減の計3基になったものの、離着艦には後述の「電磁式新装備」を採用した結果、戦闘力はむしろ強化されており、飛行甲板を含む各所には新開発の高強度強靭鋼を使って強度維持と軽量化を両立しています。

乗組員は艦の運用要員だけで2,180人、これに航空要員2,480人がさらに加わって合計4,600人以上が乗るため、艦内には売店や郵便局、散髪屋、診療所、スポーツジムなどが完備され、ひとつの「町」を形成しています。

当然ながら、これだけの人員と設備、航空運用能力を維持するには大量の電力が必要。そして、この電力需要を支える新型原子炉は「ニミッツ級」よりも出力が25%増したうえ、コンパクト化によってメンテナンス時間を30%削減しました。

まさに原子力空母の心臓部分であるこの原子炉は25年周期で炉心交換と大規模修理が求められますが、そもそも艦の寿命が約50年と想定されているので実質1回で済みます。

目玉は電磁式カタパルトとアレスティング・ギア

さて、「ジェラルド・フォード級」は洋上の航空基地としてF-18戦闘機、F-35ステルス戦闘機、電子戦機、早期警戒機、哨戒ヘリ、輸送機などを計70〜75機ほど搭載しています。これは数的には「ニミッツ級」とほぼ変わらない一方、運用面では新たに「電磁式」のカタパルトとアレスティング・ギア(着艦拘束装置)を採用して離着艦を効率化しました。

電磁式カタパルトは蒸気式と比べて信頼性は劣るものの、射出に要する準備時間が短く、航空機の特性に合わせた加速度調整と小型無人機への対応もできます。

さらに、カタパルト自体も小型で軽量のため、メンテナンス効率の向上と維持費削減につながりました。

海上を動く航空基地たる新空母(出典:アメリカ海軍)

一方、着艦時に使うアレスティング・ギアも従来の油圧式から電磁式へ変更することで、より細かな制御が可能となり、航空機への負荷を軽減しています。

これら電磁式装備のおかげで、1日あたりの出撃回数は160回と「ニミッツ級」よりも3割増え、弾薬搭載量も倍増しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました