イギリスのヴァンガード級原子力潜水艦の性能とは?

イギリスのヴァンガード級原子力潜水艦 外国
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唯一の核運搬手段

イギリスといえば、国連の常任理事国であって、認められた核保有国のひとつです。ところが、アメリカやロシアとは違い、現在は地上配備型と爆撃機型は持っておらず、原子力潜水艦でしか運用していません。

「ヴァンガード級」潜水艦が唯一の核手段になり、いま就役している4隻のうち、常時1隻が海中に潜んでいます。

  • 基本性能:「ヴァンガード級」原子力潜水艦
排水量 15,980t
全 長 150m
全 幅 12.8m
乗 員 135名
水中速力 25ノット(時速46km)
兵 装 533mm魚雷発射管×4
弾道ミサイル×16
建造費 1隻あたり約1兆円

老朽化した「レゾリューション級」を更新すべく、1993年からヴァンガード級の配備が始まり、前任の約2倍の大きさになりました。

通常の魚雷発射管に加えて、16基の弾道ミサイル発射装置を持ち、アメリカ製の「トライデントD5」を搭載しました。これがイギリス唯一の核戦力にあたり、いざという時は海中から放ち、最大10,000km先まで核の反撃を行えます。

ただ、それまで使っていたミサイルより大きく、潜水艦自体も大型化を余儀なくされました。ちなみに、トライデントはアメリカの「オハイオ級」も使い、同様に戦略的打撃力を支えてきました。

イギリスのヴァンガード級原子力潜水艦ヴァンガード(出典:イギリス海軍)

原子力潜水艦は反撃手段である以上、敵に見つかってはならず、海中に潜みながら、相手を疑心暗鬼にさせます。その結果、相手は先制攻撃を思いとどまり、抑止できるというわけです。

それゆえ、ヴァンガード級はロールス・ロイス製の原子炉を積み、最大25ノットの水中速力とともに、理論上はほぼ無限の航続距離を誇ります。もちろん、食料問題や乗員の休息を考えると、数ヶ月おきの寄港と補給が欠かせず、定期的なメンテナンスも必要です。

後継は2030年代に

さて、ヴァンガード級は登場から約30年が経ち、そろそろアップグレードの時期が迫っています。お金がないイギリス政府にとって、その更新は財政的には厳しく、政府と議会内でかなり揉めてきました。

しかし、唯一の反撃手段を失うわけにはいかず、最終的には「ドレッドノート級」の建造が決まり、2030年代を通して計4隻が就役予定です。

それまでヴァンガード級を使い続けますが、気象の激しい海域に潜み、常時展開をしてきた関係からか、結構な老朽化が進んでいます。しかも、近年のイギリスは造船能力が落ちており、後継を計画通りに納入できるかは怪しく、遅延の分だけヴァンガード級の退役が遅れるでしょう。

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