柔軟性に富む装甲車
「EBRCジャグア」はフランス陸軍の装甲偵察車両であり、古くなった「AMX10-RC」を置き換えるべく、2022年から配備が始まりました。
- 基本性能:EBRCジャグア
重 量 | 20t |
全 長 | 7.1m |
全 幅 | 2.99m |
全 高 | 3.5m |
乗 員 | 3名 |
速 度 | 時速90km(整地) |
行動距離 | 約800km |
兵 装 | 40mm速射砲×1 対戦車ミサイル×4 7.62mm機関銃×1(遠隔操作式) |
価 格 | 1両あたり約9億円 |
AMX-10RCとは異なり、主武装には40mm速射砲を持ち、105mmライフル砲からは大幅な火力ダウンになりました。
しかし、この速射砲は仰角45度まで対応できるため、市街戦や対空射撃に適しています。また、時限式砲弾など弾薬は4つの種類から選べるほか、発射速度も毎分168発から200発まで変更できたり、射撃モードも単発と3連バーストを選択可能です。
つまり、砲自体の威力は下がったものの、目標に対する柔軟性は高くなり、4発の対戦車ミサイルを載せることで、全体的な火力不足を補いました。
しかも、この「アケロンMP」という対戦車ミサイルは、最大4,000mの射程を誇るだけでなく、障害物の後ろから発射したり、途中で目標を変えられます。
機動力で生存性を確保
ジャグアの装甲については、鋼板やアルミニウム、セラミック繊維を組み合わせており、155mm砲弾の至近弾や14.5mm弾までは耐えられます。
一方、アクティブ防御機能として、80mmの擲弾筒が計12個も搭載されました。これはミサイルやロケット弾を散弾で迎撃するもので、検知器やレーザー警告システム、赤外線妨害装置とともに機能します。
偵察装甲車である以上、本格的な対装甲戦は想定しておらず、あくまで機動力による生存性を目指しました。したがって、6輪駆動の偵察車としては、時速90kmの路上機動力を誇り、信頼性の高いディーゼル・エンジンと変速機を搭載しました。
地雷やIED(即席爆発物)にも対応すべく、車高はAMX-10RCより高く設計されましたが、じつはサスペンションを調整すれば、この車高も地形に合わせて変えられます。
機動性や柔軟性を重視したジャグアですが、フランスでは2030年までに300両を調達するほか、隣国・ベルギーも約60両を購入しました。
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