基本的に誰でも参加可能
防衛省といえば、東京・市ヶ谷にそびえ立ち、多くの将官やエリート佐官が日々働いている国防の中枢です。
ニュースでよく見る正門前も警備が厳しく、一般人とは無縁に思えるものの、じつは防衛省の敷地に入れる見学ツアーというのがあります。
これは2ヶ月前から電話申し込み、基本的には誰でも参加可能です。申込み後、メールで住所・職業などを確認しますが、まれにここで弾かれる可能性はあります。
ツアーには午前(2時間)と午後(2時間20分)の2つがあって、それぞれの定員は40名と20名です。かなり人気が高く、すぐに定員枠が埋まるため、希望者は2ヶ月前になったら、即座に電話予約した方がいいでしょう。
午前・午後の違いについては、後者は大本営地下壕跡も立ち寄ることから、ツアー時間が20分ほど長く、その見学料として700円を収めなければなりません。
そして、今回は午後の部を解説していきます。
正門で受付後、地下壕へ
まずは、おなじみの正門前に並び、時間になったら案内されます。このとき、申込内容と相違がないか確認すべく、身分証明証の提示を求められます。案内役から訪問者用の入門証を受け取り、自動ゲートにかざしてから入門します。
入門後は裏の待機場所で待ち、参加者が全員そろったら出発です。
まずは、地下壕まで坂道を登りますが、さっそく「市ヶ谷台」と呼ばれたわけを感じられます。イメージと違って緑も多く、地下壕周辺は普通に雑木林のような状態です。
そもそも、いまの防衛省がある市ヶ谷駐屯地は、かつては陸軍省や大本営陸軍部、参謀本部があった場所です。戦時中は空襲を避けるべく、一部機能が地下に移り、陸軍大臣室や通信室などが造られました。
地下壕に入る前、ここで700円の見学料を徴収されるほか、頭部保護用のヘルメットを渡されます。ちなみに、見学料は地下水や湿気にさらされた地下壕の維持管理に使われるそうです。
真夏の暑さにも関わらず、地下壕は冷んやりとした空気に包まれており、外とは全く違う世界でした。
当時の設備はなく、現在は歩きやすいように整備されていますが、大臣執務室や通信室、炊事場、トイレなどの跡地は残っていました。
ここで事実上最後の陸軍大臣となる阿南惟幾が執務していたのを考えると、なにやら感慨深い気持ちになります。
映画「日本のいちばん長い日」にもあるように、血気盛んな将校たちを前にして、阿南陸相が終戦の御聖断を伝えたのがこの場所です。そう考えると、まさに日本の歴史が動いた空間でもあります。
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