無人のトラックシステム?COMMANDSに期待される役割

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現代戦の教訓を反映

ロシア=ウクライナ戦争では無人機が飛び交い、地上部隊にとって最大の脅威になりました。自爆ドローンは安価にもかかわらず、戦車や装甲車などに次々と突っ込み、火砲とともに戦果の大半を占めています。

この問題は敵・味方を問わず、現場では深刻な問題になっており、歩兵が2〜3人集まるだけで見つかり、自爆ドローンの攻撃を受けてきました。戦車でさえ撃破されるならば、非装甲の車両は耐えられるはずもなく、死活的な補給路を危険にさらしています。

両軍ともに兵員・物資を陸路で運び、数少ない幹線道路が生命線になるなか、自爆ドローンの攻撃により、多くの輸送車両が破壊されてきました。道路上に防護用の網を張るも、全てのドローンは防ぎ切れず、輸送任務は危険度の高い仕事になりました。

最低でも人的リスクを軽減するべく、各国は無人車両群の開発に取り組み、そのひとつが「COMMANDS」というシステムです。これはスペインのSenar社がつくり、無人の軍用トラックシステムに限ると、ヨーロッパ初の試みといえます。

対ドローンの無人車両群

COMMANDSは高脅威下でも活動するべく、複数の無人車両(トラック)を使い、前線に物資を届けるのが役目です。運転席は一応あるものの、基本的には無人車両のみで隊列を組み、人間は安全圏から遠隔操作・監視します。

カメラ、レーダー、センサーを車両に積み、NATOの戦闘システムと連接できるため、周囲に対する状況認識能力に加えて、リアルタイムでの情報共有能力を確保しました。

同能力は地形の把握に役立ち、衛星のナビゲーション・システムと連動しながら、地上を無人走行する仕組みです。

多数のドローンが飛び交う以上、迎撃や妨害に限界があるのは否めず、一定の損害を計算に織り込み、人的リスクだけでも下げねばなりません。

たとえドローン攻撃を受けても、無人車両なら人的損害は発生せず、投入時の心理的ハードルは下がるほか、その分の戦力を他に割り当てられます。人間の損失を恐れることなく、危険な最前線に無人トラック群を送り、一部でも現地に到着すれば、補給面と士気の点では「御の字」です。

一方、まだ本システムは試験段階にすぎず、これから未舗装や損傷した道路など、実戦に近い環境下でテスト予定です。 アメリカでも無人輸送群の研究が進み、ドローンの脅威が去らない限り、こうした取り組みは各国で加速するでしょう。

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