陸上自衛隊の地上レーダー装置1号(改) / 2号の性能と違い

陸上自衛隊
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地上目標を監視する装備

陸上自衛隊は戦場で偵察隊を放ち、敵の動向を把握するとはいえ、夜間・悪天候・視界不良の場合、人間の目や光学機器では限界があります。

そこで活躍するのが、「地上レーダ装置」という装備です。

この装備品には「1号 (改)」「2号」があって、運用の規模と目的が異なるものの、どちらも周辺の敵兵や車両を探知すべく、移動可能な監視レーダーとして使います。

ただし、あくまで地上目標の捜索にしぼり、対空監視能力はありません(防空は別の装備が担当)。

  • 基本性能:地上レーダ装置1号 (改) /2号
1号 (改) 2号
重 量 約1,500kg 41.2kg
運 用 高機動車 人力搬送
用 途 中距離用 近距離用
捜索範囲 最大20〜30km 最大10km
開 発 NEC 富士通
調達開始 2005年 1982年
価 格 約3.5億円 約500万円

中距離・車載型の1号 (改)

まず、1号改は「85式(1号)」の後継にあたり、約20億円をかけてNECが開発したあと、2005年から調達が始まりました。

主に中距離の警戒監視を担い、戦場での移動監視に加えて、海岸付近での沿岸監視も行うため、装置ごと「高機動車」に搭載しました。85式(1号)も車載式とはいえ、トラックで運ばねばならず、前線ではかなり目立つ存在です。

他方、1号改は高機動車に収まった結果、敵に合わせてすばやく移動したり、悪路や困難な地形を突破するなど、高い機動展開性と柔軟性を確保しました。

装置は伸縮可能なアンテナを持ち、移動時は収納して車高を抑えながら、捜索時は逆に10mまで伸びる仕組みです。

アンテナを最大まで伸ばしたうえで、地形と気象環境に恵まれていれば、最大20〜30kmは捜索できます。このあたりは状況次第になるも、最低でも10km圏内までは届き、偵察部隊を支援するには十分です。

また、最大60個の目標を同時追尾できるほか、その大まかな種類を識別可能です。具体的な車種は識別できずとも、接近する目標がトラックなのか、戦車なのかぐらいは分かり、このような区別だけでも、その場の状況判断を助けます。

現場指揮官からすれば、対戦車ミサイルを準備するか、それとも機関銃で攻撃するかなど、立てるべき作戦内容が変わるからです。

捉えた目標は車内の画面に映り、全方位の広域表示だけではなく、特定の方向に絞る表示を選べます。前者は俯瞰的に把握したい場合に使い、後者は距離・角度を詳しく知り、精密追尾するときに用いてきました。

探知・識別した情報を転送すれば、それに基づいてミサイル攻撃・砲撃を行い、敵の車両や上陸用舟艇を撃破します。

人力で運べる2号

一方、2号は「82式地上レーダ装置」とも呼び、富士通が開発・製作したあと、1982年に導入されました。

最前線での運用を考えて、コンパクトな仕組みになっており、分解・人力輸送できるシステムです。全重量は41kgほどしかなく、分解後は数名で持ち運び、使用時は送受信機を三脚に置き、リチウム電池・自動車の蓄電池で稼働します。最前線の現場で使うことから、装備一式は簡素化・共通化を図り、整備性を高めました。

その代わり、1号改ほどの探知能力はなく、捜索範囲は対車両で約8〜10km、対人は5km圏内が限界です。さらに、具体的な種類・規模までは分からず、敵の「接近」をとりあえず察知します。

しかし、地形の制限と悪天候で1号改の性能が限られる場合、2号でその不足分を補完してきました。2号はポータブルであるがゆえ、車両が侵入できない地形はもちろん、陣地・ビルの中にまで持ち込み、最前線のセンサーとして機能します。

すなわち、「1号改(中距離)」で大きな動きをつかみ、「2号(近距離)」で局所的な監視を行い、直前の接近方位などを知る形です。そのため、両者を連携させながら、それぞれの強みを活かせば、偵察部隊の頼れる「電子の目」になります。

どちらも師団・旅団の偵察部隊が使うなか、1号改は採用から20年以上が経ち、2号にいたっては45年が経過しました。

消費電力を抑えたほか、電波妨害への耐性と精度を高めるなど、多少の改良型は存在するものの、まともな後継の開発が期待されています。

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