役割
ウクライナ侵攻で再注目
2022年2月下旬、ロシアはウクライナに多方面から攻め込み、首都の早期制圧を目指したものの、装甲部隊が想定したような活躍ができず、いわゆる「特別軍事作戦」は失敗に終わりました。
その後、熾烈な砲兵戦・塹壕戦を繰り広げるなか、戦場では無数の自爆ドローンが飛び交い、「ドローンを使った第一次世界大戦」と評されています。
しかし、ドローンの陰に隠れながら、同じぐらい敵の進撃を防ぎ、再評価されているのが「地雷」です。
昔からある兵器にもかかわらず、いまなお地雷の効果と厄介さは変わらず、その有効性が改めて証明されました。
むしろ、双方が航空優勢を確保できず、大量のドローンが飛び交う限り、余計に地雷除去が難しくなりました。なぜなら、相手の地雷を除去しようとすれば、すぐに自爆ドローンが突っ込み、作業を妨害してくるからです。
だからこそ、両者とも前線に地雷原を敷き、ドローンと火砲と連携させながら、効果的な防衛線を構築しました。
特に対戦車地雷の存在は大きく、地雷で装甲部隊の足が止まると、自爆ドローンと火砲で狙い撃ち、敵の前進を阻んできました。
地雷原にドローンと火砲を加えた、複合的な防衛線を突破できないからこそ、ロシア自慢の戦車部隊は活躍できず、ウクライナの反攻作戦も失敗しました。
コンベアで次々と設置
現代戦における地雷の再評価を受けて、陸上自衛隊では地雷除去装備とともに、対戦車地雷の敷設装置が再注目されています。
それが「83式地雷敷設装置」であって、施設科が運用する工兵車両です。
- 基本性能:83式地雷敷設装置
| 重 量 | 2.2t |
| 全 長 | 5m |
| 全 幅 | 2.4m |
| 全 高 | 2.4m |
| 敷設能力 | 対戦車地雷:300個/1時間 |
| 価 格 | 5,000万円(推測) |
83式地雷敷設装置は名前のとおり、戦場で地雷を置く特殊装備ですが、日本は禁止条約(オタワ条約)に基づいて、対人地雷を保有していません。
そのため、対戦車地雷しか敷設できないものの、83式は見た目の割には能力が高く、1時間で300個以上を設置できます。
地面を掘り起こしながら、ベルトコンベアで次々と地雷を置き、そのまま埋め戻す仕組みです。このとき、セットされた設定に基づいて、自動的に信管を調整するほか、設置間隔を3段階から選べます。
一方、装置そのものは自走能力がなく、トラックなどに引っ張ってもらうため、地雷は牽引車両の荷台に積んでおき、コンベア経由で供給・敷設します。
短期間で地雷原を構築できる分、複雑な機械構成になってしまい、価格は5,000万円と推測されます。あまりに希少な機械だからか、関連部品も生産コストが高く、維持管理に苦労しているそうです。
それでも、対戦車地雷は現代地上戦に欠かせず、日本では沿岸防衛にも役立ち、上陸を阻止・妨害する有効な手段でしょう。日本に本格侵攻する場合、上陸に適した場所は限られており、そこに地雷を敷設しておけば、防衛上には有利に働きます。
したがって、83式の運用は今後しばらくは続き、その役割が再評価されています。
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